Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

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（なぜここまで確実に憶えているんだ？）

　しかも思った以上に細かいところまで話すことができるようだ。

涼介は緊張で震える手を握り締める。

話を遮り尋ねるべきか迷っていると、律子が太一へかぶりを振った。

「いいえ。若者が疑いもせずに飲んだものは毒だったの。

もがき苦しみながら倒れ、老人の嬉しそうに笑う声を聞きながら息を引き取ったの」

涼介が知っている話と同じならばこれはかなり問題がある。

（梅八家の人間が漏らしている、ということはないはずだ、と思うが……）

　涼介は答えを探るため話に口を挟んだ。

「で、その老人って誰だったんですか？」

「老人は、獣人の恋人がいるからと言って見合いを断った娘を憎んだ娘の婚約者が

老人に変装したものだったのよ」

　律子の言葉に涼介は密かに唇を噛んだ。

（やはりこの人はかなり細かいところまで話を知っている）

　涼介自身もその老人に化けた婚約者が、

梅八家の内のどの家の人間だったのかは知らない。

家の恥だから広げぬようにした、と伝え聞いてはいるが、

教授と友永は他の仮説を有しているようだった。