Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
B
「はい? 人格と記憶?」
すぐ後ろで聞いていた律子が素っ頓狂な声をあげる。
無理もない。自分だってこの状況についていけていないのだから。
心底同情していると、麻里もためらいがちに口を開いてきた。
「ええっと、お話が見えないんですが……」
麻里の言葉に山波が便乗する。
「意味がわからん」
だが、彼の娘は違う感想を口にした。
「きれいな人」
うっとりと呟く芽衣子の隣で飛田が尋ねる。
「梅田のみさん?」
飛田の問いかけを、のみが肯定した。
「はい。ですから私が当代の『梅田のみ』にございます」
今一度しずしずとお辞儀してくるのみを前に、
みのりが呆然とした様子で彼女を眺めた。
「やっぱり本当にいたんだ……」
その呟きは嬉しがってのものなのか、
それとも口惜しがってのことなのか。
判別がつかず、涼介はただみのりの横顔を見つめる。
「のみはすごいマロ。そんなことは朝飯前マロ」
小さくなった雪姫がのみの掌でふんぞり返る。
そんなざっくりとした内容で納得いくわけがない。
文句を言おうと口を開きかけた時、太一の元気のいい声が聞こえてきた。
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