Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





B




「はい? 人格と記憶?」


 すぐ後ろで聞いていた律子が素っ頓狂な声をあげる。

無理もない。自分だってこの状況についていけていないのだから。

心底同情していると、麻里もためらいがちに口を開いてきた。


「ええっと、お話が見えないんですが……」


 麻里の言葉に山波が便乗する。


「意味がわからん」


 だが、彼の娘は違う感想を口にした。


「きれいな人」


 うっとりと呟く芽衣子の隣で飛田が尋ねる。


「梅田のみさん?」


 飛田の問いかけを、のみが肯定した。


「はい。ですから私が当代の『梅田のみ』にございます」


 今一度しずしずとお辞儀してくるのみを前に、

みのりが呆然とした様子で彼女を眺めた。


「やっぱり本当にいたんだ……」


 その呟きは嬉しがってのものなのか、

それとも口惜しがってのことなのか。

判別がつかず、涼介はただみのりの横顔を見つめる。


「のみはすごいマロ。そんなことは朝飯前マロ」


 小さくなった雪姫がのみの掌でふんぞり返る。

そんなざっくりとした内容で納得いくわけがない。

文句を言おうと口を開きかけた時、太一の元気のいい声が聞こえてきた。










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