Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
H
「そもそも、
人格と記憶ってことは、元の人格はどうなっちゃうんですか?」
もし元の人格さえなくなってしまうのであれば、
雪姫の生まれ変わりだと言われているみのりも
無事に済むとは限らない。
涼介はすがるような気持ちで、のみを見つめる。
だが、のみの方は落ちついた様子で柔らかに微笑んできた。
「難しい質問ですね。
人格のみで言えば塗り替えられるというのが妥当でしょうか」
のみの言葉に涼介は眉根を寄せる。
(塗り替えられるって……)
やはり、元の人格はなくなってしまうということなのだろうか。
唇を噛み締めていると、先にみのりがのみへ問いかけた。
「人格のみでっていうことは、記憶は違うってことですか?」
みのりの問いかけにのみはただやんわりと微笑んでいる。
つまり、肯定している、ということなのだろう。
涼介は口腔内に溜まってしまっていた唾を飲み込んだ。
「……なるほど……。けど、それじゃあ、雪姫様の生まれ変わりだと
言われているみのりさんもいずれは雪姫様と一つになるってことですか?
元の人格を失くして?」
きつい口調になってしまうのも構わずのみへ問う。
のみが瞳を瞬いた。
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