Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「あ、待って梅畑君。私たちは先に帰るわ。

山波さんの件がうまくいったら連絡をちょうだい」


 野木崎が筒作るように合わせた両手を口へ当て声を出す。

涼介も彼女に応えるように声を張った。


「わかりました! 気をつけて帰ってくださいね。

あとで必ず電話します」

「お兄ちゃんまたねー。今度絶対に遊びに行くからねー」

「ああ! あとで連絡するよ!」


 両手を振る太一に、涼介が大きく腕を左右に振る。

それに満足したのだろう。野木崎が微笑みながら頷き、

涼介たちへ向けていた顔をこちらへ向ける。


「それじゃあ、皆さんお先に失礼します。

麻里さん、太一君行きましょう」

「はい。お先に失礼します」


 頭を下げる野木崎と麻里へみのりもお辞儀をする。


「遅くまでありがとうございました。お気をつけてお帰りください」

「バイバーイ」


 手を振る太一に紅が小さく手を振り返す。


「お気をつけて」

「気をつけるマロよー」


 いつの間にか山波以外のすべての盃を回収し終えていたようだ。

梅田のみが両手で5つに重なった盃と銚子を持ち、

優雅に頭を下げる。その肩の上で、雪姫がにこにこと笑いながら

手を振っていた。



第六章 自覚【了】







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