Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
九
IE
「あ、待って梅畑君。私たちは先に帰るわ。
山波さんの件がうまくいったら連絡をちょうだい」
野木崎が筒作るように合わせた両手を口へ当て声を出す。
涼介も彼女に応えるように声を張った。
「わかりました! 気をつけて帰ってくださいね。
あとで必ず電話します」
「お兄ちゃんまたねー。今度絶対に遊びに行くからねー」
「ああ! あとで連絡するよ!」
両手を振る太一に、涼介が大きく腕を左右に振る。
それに満足したのだろう。野木崎が微笑みながら頷き、
涼介たちへ向けていた顔をこちらへ向ける。
「それじゃあ、皆さんお先に失礼します。
麻里さん、太一君行きましょう」
「はい。お先に失礼します」
頭を下げる野木崎と麻里へみのりもお辞儀をする。
「遅くまでありがとうございました。お気をつけてお帰りください」
「バイバーイ」
手を振る太一に紅が小さく手を振り返す。
「お気をつけて」
「気をつけるマロよー」
いつの間にか山波以外のすべての盃を回収し終えていたようだ。
梅田のみが両手で5つに重なった盃と銚子を持ち、
優雅に頭を下げる。その肩の上で、雪姫がにこにこと笑いながら
手を振っていた。
第六章 自覚【了】
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