Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





B




「涼介君、みのり様のことありがとうございました」


 軽く頭を下げてくる碧に涼介は姿勢を正す。


「いいえ。碧さんもありがとうございました。無理言ってすみません」

「とんでもありません。やはり涼介君にお任せして良かったですね」


 そんなふうに言われるようなことはしていない。

自分はむしろ長い話を聴いてもらった側だ。


(俺の面目保たせようとしてくれてるのかな?)


 やはり碧は格が違う。


(こういう人だからみのりさんも好きになったんだろうしなあ)


 なんとか幸せになって欲しいものだが、

身分がどうとか言っているだけに難しそうだ。

ここは自分が人肌脱がなくては。

内心で大きく頷いていると、太一が山波へ声をかけた。


「おじちゃん、みのり様は顔を真っ赤にしても可愛いね」


 太一の言葉に涼介はえ、と思う。

慌ててみのりに視線を移すと、みのりの頬がほんのりと赤みを帯びていた。


「まあ、みのり様もお年頃ってことだな」


 もっともらしいことを言いながら山波が湯呑みに口をつける。


(まずい……)


 想い人の前で勘違いされては辛いのだろう。

慌ててフォローしようと言いさした時、ぐいっと小さな頭が入ってきた。










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