Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　律子は麻里の言い分に、感心する。

内心で驚きながらも、彼女に優しく声をかけた。


「麻里さん……そんなことまで考えていたのね。

ちょっと見直したわ。でもあなたらしくないわね。その考え方」

「え……？　らしくない、ですか？」


　自分では気づかないものなのかもしれない。

麻里が、大きな目をさらに大きく見開き凝視してきた。

律子はそれに微笑みながら、小さく首を縦に動かす。


「ええ。あなたらしくないわよ。

だってあなたって、思い込んだら一直線って感じじゃない？

相手の気持ちなんて二の次、三の次って感じで！」


　言い始めたら、次から次へと彼女との記憶が頭をよぎっていく。

最初の出会いからしてまずそうだ。

金物を見せつけながら話しかけてきたときは、本当に不審者がやって

きたのかと思った。そのあとも強引に息子を連れ出そうとしたり。

さっきだってそうだ。銃を突きつけてきた狸の前に、なんの躊躇も

見せず出て行った。

数日前に出会ったばかりだというのに、どれほど麻里に振り回されて

きただろう。


（まあそれも、今では良い思い出になりつつあるんだけどね……）


　律子は気分を落ち着けようと、アイスティーを一口飲む。

冷たくてさっぱりとした喉ごしに、力が抜ける。

ふぅーと息を吐き出していると、直実がおかしそうに笑った。