Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
IA
「それに、そんなこと承知できません。みのりさんたちは
当事者じゃないですか!」
(涼介……)
苦手だと言っていた相手を前に、自分を守ろうとしてくれる。
それがこんなにも心強く感じるなんて思わなかった。
(ううん。今だけじゃないわ。涼介はいつも私を守ってくれてた……)
みのりは目の前にある涼介の背中を見つめる。碧たちと別行動
することになったとき、銃を突きつけられたとき。そして今も。
ことあるごとに彼は自分を守ってくれていた。
(本当。人がよすぎるわよ)
好きでもない人間に対し、これほど一生懸命になれる人は
そうそういないだろう。涼介の優しさに触れ、みのりは泣きそうに
なる。零れ落ちそうな涙をまばたきで誤魔化していると、市長の
空々しい声がスピーカーから流れてきた。
『みのり様は今修行中なんだとか。こんな下々のところへ来ている
わけがないじゃないか。それとも証明できるものでもあるのかな?』
「何を訳のわからないことを!」
涼介が吐き捨てるように言い放つ。みのりは眉間に皺を寄せた。
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