Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIG




 突如、紅が外へ出そうと押してくる黒服と自分との間に入ってくる。

護衛の役目を果たそうとしたのだろう。小さい身体を活かしながら

ここまで来てくれたことに、みのりは感謝した。しかしながら黒服に

とって、小柄な少女などなんの障害物にもならないようだ。動じる

ことなく彼女ごと、追いやろうと手を伸ばしてくる。


「ちょっと君、それ以上僕の紅とお嬢様に近寄らないでもらえるかな」


 寸でのところで、碧が黒服の腕を掴む。その鋭い眼差しに、男は

怯んだようだ。一歩後ろへ下がった。そこへ、タイミングを計った

ようにパンパンと小気味よい音が響く。音の方へ目を向ける。


「2人とも黙って。みのり様、お久しぶりでございます。

わたくしここにおります梅畑雅秋の妻、美紀と申します。

以後お見知りおきください」


 市長の妻がハキハキとした口調で、一礼してくる。

口調とは違い、ゆったりと頭を下げる姿は、指先までしっかりと

神経が通っていてとても美しい所作だった。想定外の彼女の行動に、

みのりも思わず会釈を返す。


「え? あ、ご丁寧にどうも。

って、だからそんな場合じゃないんです。

なぜ止めようとするんですか?」

「相変わらず肝の据わった方のようですね」


 我に返り問い詰める横で、碧がため息まじりに肩を竦めるのが

分かった。










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