Gold Plum

第六章


対峙


〜みのり＆涼介の場合〜


三


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（まずいわね……）


　梅畑の人間ならば市長側の人間のはずだ。しかしみのりがぐず

ぐずしている間に、山波がしびれを切らしてしまったらしい。


「俺は、俺は、知らん！」


　声を荒げ、女性と次男の出現によって狭くなった廊下を縫うように

奥へ行こうとする。


「お義父さん」


　飛田が手を伸ばす。だが、再び詰め寄ってきた黒服たちが彼の行く

手を阻む。みのりも壁のように立ちはだかる黒服たちの隙間から、

必死に呼びかけた。


「山波さん待ってください！」

「皆さん、待ってください。どなたも一度止まって」


　市長の妻が突然割って入ってくる。そのせいでみのりの声はかき

消されてしまった。援軍が来たとばかりに、市長は幾分表情を

和らげ妻へ顔を向ける。


「美紀、山波さんを家へ連れて行ってくれないか。

ちょっと立て込んでいるんだ」

「立て込ませているのは雅秋兄のせいでしょう！」


　すぐさま涼介が市長へ反論した。みのりは戸惑いを見せたまま

再び固まった黒服を押しやり、彼らが造った壁から抜け出した。

視線の先には半身ほど背を向けた山波が見える。


「山波さん、まだ話は終わってません！」


　山波へ追い縋ろうと前へ進む。だが、それを黒服たちが阻んできた。