Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIE




「あなたたちにみのりさんの何わかるっていうんだ!!」


 涼介の大きな声に、黒服たちはもちろん市長と文兎の動きが止まる。


(涼介……)


 彼が怒りをあらわにさせ、自分を擁護するとは思っていなかった。

みのりは嬉しさに、目頭を熱くさせた。


「涼介? お前……」

「おじさん、待って!」


 困惑気味に呟く市長の声を、紅の言葉が遮る。彼女の声で、潤み

出した涙が引っ込んだ。黒服たちの隙間から、山波が目を丸くして

涼介を凝視している姿が見える。


(涼介の言葉に喜んでる場合じゃないんだった。今は山波さんと

話をしなくっちゃ!)


 みんなの動きが止まっている今がチャンスだ。みのりが決意を

新たにしたときだった。山波の奥に続いている廊下から、

すらりとした女性と、背の高い男性が話しかけてきた。


「あら、どうしたの? こんなところで」

「兄さん? 涼介も? どうかしたのか?」


 女性の方は市長の妻なのだろうか。ふんわりとウェーブがかった

黒髪を襟首辺りで揺らしながら市長へ顔を向ける。対して男性の方は

梅畑の次男なのだろう。一見すると、黒茶色のくしゃっとした柔らか

そうな髪のせいで女性の弟のようにも見える。だが、長兄である雅秋と

涼介を不思議そうに見つめる眼差しは、2人に良く似ていた。










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