Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
BIE
「あなたたちにみのりさんの何わかるっていうんだ!!」
涼介の大きな声に、黒服たちはもちろん市長と文兎の動きが止まる。
(涼介……)
彼が怒りをあらわにさせ、自分を擁護するとは思っていなかった。
みのりは嬉しさに、目頭を熱くさせた。
「涼介? お前……」
「おじさん、待って!」
困惑気味に呟く市長の声を、紅の言葉が遮る。彼女の声で、潤み
出した涙が引っ込んだ。黒服たちの隙間から、山波が目を丸くして
涼介を凝視している姿が見える。
(涼介の言葉に喜んでる場合じゃないんだった。今は山波さんと
話をしなくっちゃ!)
みんなの動きが止まっている今がチャンスだ。みのりが決意を
新たにしたときだった。山波の奥に続いている廊下から、
すらりとした女性と、背の高い男性が話しかけてきた。
「あら、どうしたの? こんなところで」
「兄さん? 涼介も? どうかしたのか?」
女性の方は市長の妻なのだろうか。ふんわりとウェーブがかった
黒髪を襟首辺りで揺らしながら市長へ顔を向ける。対して男性の方は
梅畑の次男なのだろう。一見すると、黒茶色のくしゃっとした柔らか
そうな髪のせいで女性の弟のようにも見える。だが、長兄である雅秋と
涼介を不思議そうに見つめる眼差しは、2人に良く似ていた。
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