Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
EID
「お、お義兄! 何言ってるのよ碧!
そんな未来あるわけ……だって紅がいるでしょう!」
彼女がいると何か不都合なことでもあるのだろうか。
言っている意味がわからず問いかけようとするが、
先に紅がみのりの腕を掴む。
「うん。ずっと、一緒」
袖に顔を寄せご機嫌な声をあげる紅へ対し、雅仲が何故か
肩を落とした。
「ごちそうさまです……」
みんな何を言っているのかわからない。
だがとりあえず、紅と碧とみのりが離れがたいほど強い絆で
結ばれていることは理解できた。
今までずっとそんな3人を羨んできたが、今日は違った。
何にも理解していなかったのだ、と今ならわかる。
「……俺、何にも知らなくて、ずっと1人だって思ってた。
けど、違ったんだな……」
家族全員で不器用なりに自分を守っていてくれたのだ。
そんなことに気づくことができなかった自分は、
なんて幼く小さな人間なのだろう。
拳を握り押し寄せてくる後悔の念にさいなまれていると、
ふいにみのりの声が耳の奥へと響いてきた。
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