Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





EID




「お、お義兄! 何言ってるのよ碧!

そんな未来あるわけ……だって紅がいるでしょう!」


 彼女がいると何か不都合なことでもあるのだろうか。

言っている意味がわからず問いかけようとするが、

先に紅がみのりの腕を掴む。


「うん。ずっと、一緒」


 袖に顔を寄せご機嫌な声をあげる紅へ対し、雅仲が何故か

肩を落とした。


「ごちそうさまです……」


 みんな何を言っているのかわからない。

だがとりあえず、紅と碧とみのりが離れがたいほど強い絆で

結ばれていることは理解できた。

今までずっとそんな3人を羨んできたが、今日は違った。

何にも理解していなかったのだ、と今ならわかる。


「……俺、何にも知らなくて、ずっと1人だって思ってた。

けど、違ったんだな……」


 家族全員で不器用なりに自分を守っていてくれたのだ。

そんなことに気づくことができなかった自分は、

なんて幼く小さな人間なのだろう。

拳を握り押し寄せてくる後悔の念にさいなまれていると、

ふいにみのりの声が耳の奥へと響いてきた。










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