Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
EIE
涼介が顔をくしゃりと歪める。みのりは小さく彼の名を呼んだ。
「涼介……そうよ! あなたは1人ぼっちなんかじゃないのよ」
下を向く彼の顔を笑顔にしたくて、声援を送る気持ちで声を
弾ませる。
「みのりさん……」
涼介の少しだけ潤んだ瞳が大きく見開いたかと思うと、
その顔がゆっくりとほころんだ。
(良かった。やっぱり好きな人には笑っていて欲しいわよね)
自分の言葉で元気になった涼介を見て、胸がじんわりと熱くなる。
少しでも彼の力になれたことが嬉しかった。
自然と口元が緩む。涼介と目が合い、それはさらに深まった。
どこか照れくさくて、くすぐったいような。でも決していやでは
ない感覚のまま涼介と向き合っていると、彼の隣に座っている
飛田がおずおずと手をあげてきた。
「あのー……。僕、ここにいていいんでしょうか……」
申し訳なさそうに眉を下げる飛田の顔を見て、みのりは我に返る。
(やだ。
私ったら今、ちょっとみんなの存在を忘れかけていたわ……)
顔に熱が集中する。心なしかみんなが自分を見ている気さえ
してきた。
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