Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





EIE




 涼介が顔をくしゃりと歪める。みのりは小さく彼の名を呼んだ。


「涼介……そうよ! あなたは1人ぼっちなんかじゃないのよ」


 下を向く彼の顔を笑顔にしたくて、声援を送る気持ちで声を

弾ませる。


「みのりさん……」


 涼介の少しだけ潤んだ瞳が大きく見開いたかと思うと、

その顔がゆっくりとほころんだ。


(良かった。やっぱり好きな人には笑っていて欲しいわよね)


 自分の言葉で元気になった涼介を見て、胸がじんわりと熱くなる。

少しでも彼の力になれたことが嬉しかった。

自然と口元が緩む。涼介と目が合い、それはさらに深まった。

どこか照れくさくて、くすぐったいような。でも決していやでは

ない感覚のまま涼介と向き合っていると、彼の隣に座っている

飛田がおずおずと手をあげてきた。


「あのー……。僕、ここにいていいんでしょうか……」


 申し訳なさそうに眉を下げる飛田の顔を見て、みのりは我に返る。


(やだ。

私ったら今、ちょっとみんなの存在を忘れかけていたわ……)


 顔に熱が集中する。心なしかみんなが自分を見ている気さえ

してきた。










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