Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
EIG
(もしかして私が落ち込んだのがわかって、
話を変えてくれたのかしら?)
ただの偶然かもしれないが、彼のおかげで泣かずに済んだ。
みのりはパチパチとまばたきを繰り返しながら、心の中で雅仲に
感謝した。
(それにしてもあの次男さん。
市長や涼介のことをよく見ているのね)
そうでなければ、先ほどまでの話などできないはずだ。周囲を
観察することに長けているのかもしれない。みのりがつらつらと
雅仲のことを熟考していると、碧がため息まじりに声を発した。
「まさか涼介君の次兄殿から、あのような話が聞けるとは思っても
いませんでしたね」
お茶をすすり、しみじみと語る碧に涼介が応える。
「俺も我がことながら驚いてます」
頬を人差し指でひっかきながら苦笑する姿がどこかホッとした
ように見えるのは、被害妄想だろうか。
(何よ。
さっき変な空気になったのは私のせいじゃないんですからね!)
むしろ隠そうとせずに全身を使って怯んだ様子を見せた涼介の
方に責任があるはずだ。
(せっかく次男さんのおかげで気分をリセットできたと思ったのに)
みのりは、フンッと涼介の顔が視界に入らない雅仲の座っていた
方へ目を向ける。
同時に不貞腐れて黙っていた紅が小さく感想をこぼした。
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