Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





EIG




(もしかして私が落ち込んだのがわかって、

話を変えてくれたのかしら?)


 ただの偶然かもしれないが、彼のおかげで泣かずに済んだ。

みのりはパチパチとまばたきを繰り返しながら、心の中で雅仲に

感謝した。


(それにしてもあの次男さん。

市長や涼介のことをよく見ているのね)


 そうでなければ、先ほどまでの話などできないはずだ。周囲を

観察することに長けているのかもしれない。みのりがつらつらと

雅仲のことを熟考していると、碧がため息まじりに声を発した。


「まさか涼介君の次兄殿から、あのような話が聞けるとは思っても

いませんでしたね」


 お茶をすすり、しみじみと語る碧に涼介が応える。


「俺も我がことながら驚いてます」


 頬を人差し指でひっかきながら苦笑する姿がどこかホッとした

ように見えるのは、被害妄想だろうか。


(何よ。

さっき変な空気になったのは私のせいじゃないんですからね!)


 むしろ隠そうとせずに全身を使って怯んだ様子を見せた涼介の

方に責任があるはずだ。


(せっかく次男さんのおかげで気分をリセットできたと思ったのに)


 みのりは、フンッと涼介の顔が視界に入らない雅仲の座っていた

方へ目を向ける。

同時に不貞腐れて黙っていた紅が小さく感想をこぼした。










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