Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





FIE




「どういうこと紅? 山波さんが紅に優しくしてくれたの?」


 半信半疑のまま訊いた質問に、彼女が小さく頷く。

そして山波へ目線を移した。


「関係ない。アタシ、獣人」

「別なものは別なんだ!」


 山波が強引に話を畳もうとする。しかし優しくしたことは

否定しなかった。つまり聞き間違いではないとうことだ。

みのりは胸が熱くなった。


(やっぱり山波さんは私たちと同じように考えられる人なんだわ)


 希望が見えてきた。


(あとは山波さんにどうやって自覚して貰えるかってことよね)


 みのりは腕を組み、山波を窺う。彼は、フンッと鼻を鳴らして

そっぽを向いていた。きっと照れ隠しなのだろう。少しだけ頬が

赤くなっているよう気がした。


「……俺にはそうは見えませんでしたけど。宿でお会いした時、

親しげにお話されてましたよね?」

「う……。あの方も別だ!」


 涼介の言葉に、山波が喉を詰まらせたように呻く。だがそれも

一瞬のことで、すぐ首を左右に振り涼介を睨みつけた。

しかし次に山波へ声をかけたのは紅の右隣に座っている碧だった。


「あの方というのは野臥間さんのことでしょうか?」


 首をかしげ、山波へ問いかける。だが答えは求めていない

らしい。彼が口を開くよりも前に、碧はわざとらしく手を叩いて

見せた。










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