Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
C@
「それは高松さんのご経験からの言葉ですか?」
「まあね」
あまり多くを語りたくないのかもしれない。高松は言葉みじかに
首肯すると、それ以上何も言わなかった。
市長がそれを見計らっていたかのように入ってくる。
「そんなことより、みのり様。山波さんになんと言ったんですか。
みのり様は一族の長となるお方。人間代表として、山波さんの
忠告を受け入れるべき人間ではないですか」
「な! 勝手にそんなこと決めるなって言ってるだろう!」
涼介が怒りをあらわに怒鳴る。
(人が自分以上に慌てると冷静になれるって本当なのね……)
自分の代わりに怒ってくれる相手がいるだけで、こんなにも
救われる気分になるとは思わなかった。
みのりは、市長を言い負かすために、彼が先ほど使った言葉を
借りることにした。
「涼介の言う通りです。これは黄金梅の種を咲かせた我々の
問題ですからあなたに話すつもりはありません」
きっぱり言い切ったあと、市長は何も言えず黙り込む。
涼介が深く息を吐いた音だけがリビングに広がった。
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