Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CA
重苦しい沈黙が辺りを支配していたが、誰も口を開こうとは
しなかった。
リビングの壁にかかっている時計の規則正しい音だけが響き渡っている。
(何か言うべきなのか?)
ここは自分がどうにかするべきなのかもしれない。
だが、何を言ったらいいのだろう。
この長男とはいつまで経っても解り合える気がしない。
幾度目かの長い溜め息を吐く。
しばらくすると、隣にいた雅仲が口火を切った。
「あのーみのり様、お茶のおかわりはいかがですか?」
横へ視線を送ると、手にカップを持った雅仲の姿が目に入る。
気を遣ったのだろうと思っていたのだが、
もしかしたら自分が飲みたかっただけなのかもしれない。
(どちらにしても、ありがたいことではあるけれど……)
長兄と末弟である自分を同時に案じていることは、
痛いほど伝わってくる。
(こういう場合って、どうすればいいんだ?)
どうすれば、長兄の凝り固まった信念を曲げることができるのだろうか。
(みのりさんだって必死で考えてきたんだ。
それをもう少し汲んでくれたって悪くないんじゃないか?)
雅秋の言いたいこともわかるが、
黄梅の未来を考えるならみのりの提案に乗るべきだ、と
ひいき目でなく思う。
(思った以上に古風な考えしてたんだなあ)
冷たくなってしまったお茶を飲み干していると、
おもむろにみのりの視線が動いた。
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