Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


�I�I

「しかたがないって

そんなのわかんないよ。雪姫様だって獣人のこと好きだったんでしょう」


　太一の言葉に善郎は首肯する。


「そう聞いてはいるな」

「だったら」

「オレはおっさんの気持ちちょっとわかるかも」


　太一の発言を遮ったのは自分ではなく、リオだった。


「お！　坊主！　話がわかるな！」


　やはり辛い目に遭っているのだろうか。

それは本当に悲しいことだ。

だからこそ、そんなことが起こらぬよう、

現当主である美都子様は互いの境界線をきっちり引こうとしているのだろう。

だが、まだ純粋な太一には少し理解しがたい心理だったようだ。


「なんでだよ！　リオの裏切り者！」


　何故かリオを責める。

困ったように黙り込むリオを援護するため、善郎は語気を強めた。


「いいや！　さすが邦夫さんのお孫さんだ！」


　リオを立ててやると、獣人の少年はしかめ面をして腕を組んだ。


「だってさ。太一や、この間会った人間やおっさんはいい人だってわかったけど。

人間はやっぱり怖いやつらだって教わってきたし……おっさんの言いたいことも

そういうことだろう？」

「そうだ。まったくその通りだ」


　やはりこの子は大人びている。

純粋な太一の気持ちも十分に大切なことではある。

だが、人間にも獣人にも歩み寄ることを嫌がる者たちは一定数いるのだ。

彼らの感情をどう抑えるのか。


（やっぱり離れて暮らすしか、ねえんだよなあ……）


　巡り巡って最初に戻る思考。

けれど、同時にどこかで別の結論があるのでは、と望んでいる自分もいる。


（やっぱりアイツのせいか？）


　善郎は芽衣子の彼氏である飛田の顔を思い浮かべ、深呼吸した。