Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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（パッと見はゲームセンターとかにいそうなちょっと怖そうな

お兄さんみたいだけどすごい優秀なのかな？）


　それとも灰人という獣人が、満よりも長に向いていない

人柄だったのだろうか。太一が脳裏に疑問符を浮かべていると、

話に加わろうとしなかった満が割り込んでくる。


「灰人とは元々親友だ。親友がライバルになっただけだよ！

あと坊主、俺より灰人の方が何倍も優秀だったぜ」


　善郎に訂正をいれたあと満が指を差してきた。

突然話しかけられ、太一はまばたきを繰り返す。すると善郎が

感心した様子で青年へ顔を向ける。


「お前、見た目ツンツンなのに案外見所のある奴だなあ」

「お兄さんより優秀だったのに長になれなかったの？」

「灰人は長を決める前に亡くなったんだべ」


　邦夫から告げられた言葉に太一は目を瞠った。


「なんと……」


　善郎の驚く声を聞きながら、太一は邦夫と満の顔へ交互に

視線を向ける。


「え？　だって会いに行ったって」

「墓参りだよ。墓参り。

灰人兄ちゃんの墓がうちの近くにあるんだ」


　太一の疑問に応えたのは、茶を淹れに行っていた里夫だった。

盆に乗せた湯呑を善郎の前に置くと、善郎が頭へ手をやる。


「何度もすまんなあ」

「ありがとうな、里夫」

「どうってことないぜ！」


　善郎と満の礼に里夫がニカッと白い歯を見せて笑った。

淹れたての茶を飲み始める三人をなんとなしに眺めていると、

おもむろに邦夫が口を開く。


「んで満。お前さん、今回何を灰人に相談したんだべ？」

「ぶっ。な、何って別に」


　話しかけられるとは思っていなかったのかもしれない。

満が茶を吹き出し、慌てて湯呑をテーブルへ置く。

そして再び顔を自分たちから背けるように明後日の方を向いた。