Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「こりゃ、今日は赤飯だべ！」


　ほくほくした様子の邦夫の言葉に、満が吠えた。


「だから違うって言ってんだろう！」


　立っている耳まで真っ赤である。

毛に覆われていようと、中身が真っ赤なら隠れていることにならない。


（本気なのかあ……）


　どうやらその人間の娘を本気で好きらしい。


「なんだなんだ。獣人と人間同士の恋愛って……。流行ってんのか？」


　呟いていると、太一が見あげてきた。


「流行ってる？　そうなの？」


　視線をリオへ移し尋ねる太一へ、リオが困ったように眉根を寄せた。


「オレが知るわけねーじゃん」

「だから違うって言ってんだろう！　人間は敵なんだ！

あいつらのせいで灰人は死んだんだ！

その人間を俺が好きになるはずなんてねーんだよ！」


　満の悲痛な叫びを聞き、善郎は息を呑んだ。

彼にも深い傷があったのだ。人間を憎むだけの大きな理由が。


（俺は……俺は何もないのに。それなのに獣人を嫌っていたってのか……）


　肩身の狭い思いで頬を掻いていると、邦夫の声が耳に届いた。