Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「俺はお前や邦夫さんのように誰かを亡くしたわけじゃない。

だが、獣人に対する複雑な気持ちはまだ根深く残っている。

そう教えられて育ったからな。

でも、邦夫さんたちの話を聞き、変わろうと決心した。

お前は若いんだ。

もっと容易にそれができるんじゃないか？」


　善郎は自分の正直な思いを吐露した。

正直説得できるとは思えない。

だが、彼はまだ若い。

やり直すことはいくらでもできるのだと伝えたかった。

しかし、満は俯いたまま、こちらへ視線を向けてこない。


「俺は長なんだ。

俺の考えに共感し、賛同してくれた部下がたくさんいるんだぜ。

その俺がころころ意見を変えることなんてできるわけねーだろう」


　それは確かにそうだ。

あの襲ってきた狸たちの頑なさを思えば、

考えを変えた長に対し悪感情を持つことも十分にあり得る。けれど……。


「同じくらいの熱意を持って話し合えばわかってくれる奴も

でてくるかもしれんだろうが」


　気休めでしかない、とは思いつつ、口を開く。


（俺だって、あまり立場は変わんねえんだからよ）


　「黄金梅を守る会」のみんなに、自分の気持ちを伝えなければならない。

獣人と手を取り合うべきだ、と正直に告げて、

賛同してくれる人間がどれほどいるだろうか。

考えるだけでも気が重くなり、善郎は胃の腑を押えた。