Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIB




「それはみのり様に、ということか?」


 雅秋が腕を組み碧を睨みつける。

だがその言葉に反応したのは碧ではなくみのりだった。


「なぜ私なんですか。碧は雪姫だと言ったじゃないでですか」


「雪姫様はいないじゃないですか。

だとしたら生まれ変わりと言われてるあなたしか……」


 2人が不毛な言い合いを始める。


(これはさすがにみのりさんをフォローするべきだよな)


 今回の場合、見えず聞こえもしない人間を相手にするほど

厄介なことはない。

一歩前へ進み出ようとした時、

雪姫が太一の肩から籠に戻ったのが目の端に映った。


「鹿のお兄ちゃんは見えてないけど、ここに雪姫様がいるってわかってるよ」


 太一が不服げに反論する。確かに雅秋とは違い、

飛田は雪姫がいることを疑っていない。


(こういうところに人間性の違いがでるよな)


 我が長兄は残念ながら器量が狭いらしい。自分はどうなのだろう。

そんなことを思いつつ雅秋を見つめている内にも、

雅秋が懐疑的な様子で周囲を見渡す。


「どこにだい?」

「この籠の中にいるよ」


 籠を雅秋たちへ差しだす太一を前に、雅秋の面が露骨に歪んだ。










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