Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
BIB
「それはみのり様に、ということか?」
雅秋が腕を組み碧を睨みつける。
だがその言葉に反応したのは碧ではなくみのりだった。
「なぜ私なんですか。碧は雪姫だと言ったじゃないでですか」
「雪姫様はいないじゃないですか。
だとしたら生まれ変わりと言われてるあなたしか……」
2人が不毛な言い合いを始める。
(これはさすがにみのりさんをフォローするべきだよな)
今回の場合、見えず聞こえもしない人間を相手にするほど
厄介なことはない。
一歩前へ進み出ようとした時、
雪姫が太一の肩から籠に戻ったのが目の端に映った。
「鹿のお兄ちゃんは見えてないけど、ここに雪姫様がいるってわかってるよ」
太一が不服げに反論する。確かに雅秋とは違い、
飛田は雪姫がいることを疑っていない。
(こういうところに人間性の違いがでるよな)
我が長兄は残念ながら器量が狭いらしい。自分はどうなのだろう。
そんなことを思いつつ雅秋を見つめている内にも、
雅秋が懐疑的な様子で周囲を見渡す。
「どこにだい?」
「この籠の中にいるよ」
籠を雅秋たちへ差しだす太一を前に、雅秋の面が露骨に歪んだ。
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