Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
BIA
「了承が得られないのなら帰ったらどうですか?」
碧は笑顔だ。
笑顔ではあるが、目が笑っていない。完全に怒っている。
(怒髪天まではいってないと思うけど……)
仲裁に入るべきだろうか。涼介は迷う。
だが、碧の冷えた声に対しハラハラしているのを尻目に、
高松が真っ向から碧の言葉を否定した。
「それはできないよ。だって俺たちは見届ける義務があるんだからね」
笑顔とともに雅秋へ視線を送る高松に雅秋も同意する。
「ああ。そうだ」
義務だと。涼介はむっとする。
彼らに今更なんの義務があるというのだろうか。
気がつくと考えるより先に言葉がでた。
「何が義務だよ。邪魔する気じゃないだろうな?」
「そんなことするわけがないだろう」
そうと言われて納得するわけにはいかない。
少しだけだが解り合えたような気がしたのに。
涼介は大きく吐息する。
「どうだか」
溜め息とともに告げると、碧に肩を叩かれた。
「まあまあ涼介君落ち着いて。
では市長殿、弟君と話している暇があるのなら雪姫様から
了承をとってはいかがですか?」
思いもかけない碧の発言に、涼介は一瞬意味を捉えかね目を見開いた。
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