Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AIG




「お前、本当に何を言っているんだ。すでに自由じゃないか」


 眉間に皺を寄せ告げる市長の言葉に、みのりは内心で頷いた。


(本当よ。黄梅市出入市を何度もできている時点で自由なのに

何を言っているのかしらこの人?)


 むしろ黄梅市から一度も出たことがない上に、登下校すら

一人ではできない自分の方が不自由な生活を送っていると

言えるだろう。

 みのりが真意を確かめようと高松を眺めていると、背後から

碧が呆れ気味にため息をつく。


「市長と意見を同じにするのは癪ですが、僕もそう思いますよ」

「うるさい! お前たちの思い通りにはさせない!

黄金梅なんてないほうがいいんだ。梅八家なんてくそ食らえだ!

そんなもの、俺が全部ぶっ壊してやる!」


 高松の子供のような悪態に涼介の眉が下がる。


「高松さん……」

「俺はお前たち黄梅に関わる人間を許さない!

母さんを苦しめた梅の一族なんかないほうがいいんだ!」

「……高松さん」


 高松からの憎しみのこもった眼差に、みのりは足を後ろへ

ずらした。


(母さんを苦しめたって)


 一体どういうことなのだろうか。

美都子の義弟という高松の存在をついこの間知ったばかりの自分は

知らないことが多すぎる。

みのりは事情を知っていそうな美都子の顔をそっと窺った。


「……」


 美都子は口を一文字にしたまま高松を睥睨している。


「高松……お前……」


 市長が口ごもりながらも気遣うような声を高松へ向けた。

しかし美都子からの視線を真っ向から浴びている彼に市長の声は

届いていないようだった。










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