Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
F
「そしてお母様、
高松さんは本当にお爺様のことを父親だと思っていないと思います」
最後まで言い切るや、みのりは視線を下へ向ける。
幼かった自分の目からもギスギスと感じていた母と祖父母の関係を
思うと、美都子の顔を見続けることができなかったのだ。
(お母様と対話しなかったら、私もお母様とお婆様のように
仲違いしたまま終わっていたかもしれないのね)
「……そんな。本当に?
あなたがあの男のことを嫌っていたなんて……」
弱々しい美都子の声に、みのりは顔をあげた。
瞳を潤ませる母の姿にもらい泣きしそうなる。
唇を噛んで首肯して見せると、高松が剣を含んだ声音をぶつけてきた。
「嫌っている? 違うな。そんな存在に興味すらなかった。
それをあんたたちが無理やり檻の中へ閉じ込めた! あいつは母を
大切になんてしていなかった。
死んでからも母を閉じ込め、あまつさえ目が見えなくなってきていると
訴えても治療さえ満足に受けさせてはくれなかったじゃないか!」
言いながら興奮してきたのだろう。
高松は唾を飛沫し、身振り手振りも大げさになっていった。
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