Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「はい？　え、ちょっと待ってよ。」


　律子は両掌を前へ突き出しながら後ずさった。

しかし、白シャツの狸が銃を持っていない方の手を伸ばしてくる。


（油断したわ……）


　満と麻里が醸し出す空気にあてられて、

狸たちへ話しかけたのがいけなかったのかもしれない。

思いのほか狸たちとの距離が縮まっていた。あっさりと腕を

捕まれる。


「なんで私ばっかりいつもこんな立ち位置なのー」


　律子は悲鳴染みた愚痴を叫んだ。だが、そのせいで狸が

静かにしろと言うように、背中に銃を押しつけてきた。


（ひーっ！）

「律子さん！」


　麻里が心配げに名前を呼んでくる。

安心させようと口元を綻ばせたが、上手くいかなかった。

眉間に皺を寄せ、今にも泣き出してしまいそうな彼女の姿に、

狸たちへ勢いが戻ったと感じたのだろう。

青Ｔシャツの狸が挑発するように、麻里へ銃を向ける。


「長！　この女の命が惜しかったらそっちのじゃじゃ馬女を

こっちによこしてください」


　白シャツの狸が、背中に押しつけていた銃を外す。

そしてわざと満たちへ見せつけてから、再び銃を背中へ

押しあててきた。