今回6日間に亘って、ラリー全般、またラリー中の車両の取り扱いや走行テクニック等につき、現役国際ラリーストの菅原照仁氏より教えを請い、今後海外のオフロードを走る際の様々なヒントを頂きました。

時にトレーニングの舞台を助手席へと替え、先生に説明を受けながら先生の走りを見て学ぶ機会もありましたが、先生の車両の扱いは自分の比ではないくらいに優しく、でも力強い走りを見せて下さいました。

また、ナビゲーターとして先生の口から発せられる言葉は、単にコマ地図に記載された情報を伝えるのみならず、周囲の地形情報やその先の路面状況までを教えて下さり、自分との地形変化の判断能力や周辺の情報収集能力の大きな違いを実感し、現役ラリーストとしてのレベルの高さを日々感じずにはいられませんでした。

今回の6日間のうち後半の3日間は、先生からはほぼ同じ事しか言われませんでした。「何気な〜く走らない。ダラダラ〜っとしない。1本調子にならない。自分で確認してから行って。」

これらは、非常に簡単な事です。これまで仕事でもレースでも、人に言われた事はすぐに実行でき、同じ事を2度注意されるという事は、殆どありませんでした。今回先生に教わった内容もきちんと理解していますし、言われた通りにやろうとしました。しかし、いざ言われた通りにやろうとしても、やりたくても、出来ないんです。やり方が分からないんです。後半の3日間は、本当に悩みました。何故先生の言われる通りに運転できないのだろうかと。先生曰く、それは今までの長年の癖なので、自分で意識していかなければ直らない、との事でした。

しかし1度受けた注意・指摘は2度受けないようにしたいですし、本来の自分はそうでした。そうならないように自分なりに努力しましたが、結局これらの課題は何1つクリアーされずにラリーは終わってしまいました。

対する先生ですが、同じ事を繰り返し注意するも全く進歩しない自分に対しても、先生は決して声を荒げる事なく、根気よく、繰り返し繰り返し、テープレコーダーの様に同じ事を繰り返しては教えて下さいました。

 今回の、先生の指導内容に対する生徒の学習到達度は、今までの中でも最も低かったと思います。

一般的にラリーでは、“完走=成功、リタイア=失敗、残念、成績残せず”という概念が強く、ラリーの全てはその過程ではなく、結果のみで評価されがちですが、今回は、来年以降の競技部門での参戦を見据えた上でのトレーニング目的での参戦でしたので、最終日を残してクラッチトラブルにより走行不能の状態になった事に関しては、悔しい気持ちは全くなく、むしろ残念な気持ちが強かったです。丁度トレーニング半ばでのトラブルでしたので、本当は最終日まで走行し、もっともっと練習をしたかったです。

しかし、逆にクラッチトラブルにより学んだこと、クラッチトラブルがあったからこそ学べたこともありましたし、また体調管理という面に於きましても、来年以降への良い経験となりました。今回は、レイド部門であったからこそ救われた部分が何度もありました。

 この様に、レイド部門という競技規則や時間、距離に縛られない自由走行の舞台で本物のラリーを経験できたことは、今後競技部門で参戦するための非常に良い経験になりましたし、最高のトレーニング環境であったと思います。

また、将来途上国で巡回診療を行う際に、現在の数倍のオフロード走行のスキルアップが必要であり、今後数年間、アフリカラリー参戦により、自分の夢を一歩ずつ、現実のものへと近付けていきたいと思いました。

この参戦記は、一部4×4MAGAZINE 1月号 2007に掲載させて頂きました。

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