4.ミュージカルの歌手/俳優

 
 ミス・サイゴンやレ・ミゼラブルのような音楽が特に重要視されるミュージカルでは、出演者は、特に歌がうまい人達が選ばれています。あまり科白のないアンサンブルの人でも、とても歌うまいです。実際、音大で声楽を学んでからミュージカルの道に入った人とか、元劇団四季の人とか、実力のある人がそろっています。

  ミュージカルの歌い方というのは、普通の歌の歌い方と少し違い、より感情をこめた歌い方、演技をしながら歌うこと、そして声量等が必要です。歌手として成功している人が、突然、ミュージカルに出演することになってもうまく歌えません。多くのことを学ぶ必要があります。

 一般に言って、シンガーソングライターと呼ばれている歌手は、ある程度以上の歌唱レベルにならない人が多いです。というより、自分の世界を十分表現できるだけの歌唱力があれば良く、それ以上のものは求められません。自分に歌えない歌とか自分に合わない歌、わざわざ作りません。歌唱技術を磨く暇があったら、良い曲を作り出すことに時間を使うでしょう。それは正しいことです。
  ミュージカルの場合、自分の音域に合わないとか歌いにくいからといって、曲を変えてもらう訳にはいきません。無理にでも歌いこなす必要があります。

 また、ソロコンサートの場合は、観客は普通、その歌手が嫌いだということはないので、甘い目で見てくれますが、舞台の場合、自分に興味がない、さらにはその歌手/役者を嫌いな観客の前で歌を歌わなければならないことさえあります。どうしても、観客の目が厳しくなります。また、舞台は一回きりのものなので、歌いそこなったら、劇全体を壊してしまう可能性があります。

 さらに、ミス・サイゴンやレ・ミゼラブルのような著名な作品では、出演枠が限られているので、厳しい競争の世界です。出演者は、うまくなるしか、生き残る道はありません。オーディションを受けに来た人は、音大で声楽を学んでからミュージカルの道に入った人とか、元劇団四季の人とか実力者がいっぱいいます。その中で、主要な役を勝ち取るのは並大抵のことではありません。