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俳句


雑煮餅 遠き故郷 かみしめぬ

餅の数 超されてうれし 親ごころ

あん餅や 母の苦労が 隠し味

餅飽きて 初春気分の 終りけり

初春や ほかほか炬燵 雪見餅


田舎餅 丸めし母の 指の跡

餅届き 箱の重さに 手を合はす

田舎餅 箱に隠れし お年玉

主逝き ベットに座る 鏡餅

病室に せめて初春 鏡餅

 

季語について

赤福餅 磯辺餅 きな粉餅 安倍川餅 あんころ餅 

餅つき 12/29日 電動(自動)餅つき機の普及 杵(きね)と臼(うす)

のし餅……切り餅にする前に、1p内外の厚さに手で伸ばして板状にしたもの。

鏡餅……お供えとして大小の丸餅を2段に置いたもの。正月の間は食べずに鏡開きの時に固くなったものを包丁を用いずに木槌等でたたき割る。水につけて柔らかくして食べることもある。鏡開きは1月11日

 

俳句にまつわる話

☆ 雑煮はその地方で味が違うし、入る具の数が違う。遠くから嫁にきたことを、雑煮の具の違いで実感する。その家と故郷の違いを。

    雑煮の具 あっさり系が 母の味

  雑煮見て けちな家だと 嫁誤解

    雑煮餅 育ちの違い かみしめる

  新妻や 故郷思ふ 雑煮餅

  雑煮餅 遠くにきたと 嫁思ふ

☆ お正月の元旦に食べる雑煮のおいしさは格別。

  雑煮食べ 新たな年を かみしめる

☆ 入れる餅の数を母が聞く、それを布団の中で応える。

  餅の数 答えし眠る 年始め

  餅の数 遠くで聞きし 母の声

    餅の数 超されてうれし 親ごころ

    めでたさや 雑煮の餅の 増へしこと

☆ 伊勢神宮での初詣デート 赤福を一緒に食べた。

  初春や デートの後に 伊勢の餅

  めでたさや デートの後に 伊勢の餅

  伊勢詣で 君と食べし 餅の味

  年始め 伊勢で食べし 餅の味

  五十鈴川 家族で食べし 餅の味

  五十鈴川 突き刺す風に 餅甘し

    初恋や うれしはずかし 伊勢の餅

☆ 年末の儀式、餅つき、それがなくなった。29日家族総出の餅つき。
小家族になって、餅つきの風習がなくなった。いつでも餅が食べられる。
パックに入っているお餅、鏡餅。餅がご馳走でなくなった豊かな日本。

  つきたての あんころ餅は グルメなり(醍醐味)

    つきたての 餅におろしを グルメかな

  餅つきや グルメもうなる おろし添え

    餅つきや グルメきどって おろし添へ

  のし餅の まぶした雪に 故郷(くに)思ふ

☆ 餅つきの合いの手は息の合った夫婦を試すもの。

   けんかして 餅つき間合い 仲直り

   餅つきや 間合いはかりし 目の合図

   つきたての 餅まるめし 手の白さ

   つきたての 餅の丸みや 恋心

   初恋や 餅丸めし 手の細さ

     餅つきや 円満願い まんまるに

☆ 餅を焼いてふくれた状態を、若い夫婦の痴話げんかにたとえる。コミカルに。

     焼き餅や 箸でつついて 痴話げんか

     焼き餅や 待ちきれなくて 痴話げんか

     初春や 餅焼ける間の 痴話げんか

☆ 月でうさぎが餅をついている、そんなロマンチックな(メルヘン)を忘れたのはいつ か?アポロのせいかな?

 アポロ行き 餅つく兎 追い払い

 アポロ行き 餅つく兎 忘れ去り

☆ 磯辺餅ののりは磯野香りがする。

  磯べ餅 のりの香りに 海思う

    焼き餅の 磯の香りや 海思う(松並木)

    焼き餅の 磯の香りに 郷里(くに)思う

    磯べ餅 郷里(くに)の香りに つつまれて

☆ あんころ餅のあんの味は塩気のある味は、祖母の味。

  あんころ餅 あんの塩気は 祖母の味

     あんころ餅 母の涙が 隠し味

     あん餅や 母の苦労が 隠し味

☆ 鏡餅

  鏡餅 深きしわなり はや七日

  鏡餅 しわもみえたか はや七日

  鏡餅 サイズに合った ミカン置き

  鏡餅 ミカンを置かれ 晴れ姿

☆ 杵つき餅ということがグルメの代名詞になっている。

  パック入り 杵つき餅と 書いてある

☆ 餅の焼ける香ばしい香りが食欲を誘う。

     餅焼ける こげし醤油の 香ばしさ

     新春や 砂糖溜まりに うまし餅

☆ ご馳走ばかりのお正月には、磯辺焼きが美味しい。雑煮に飽きて、久しぶりに鏡開き の餅を使っての雑煮は格別においしい。

  贅沢に 飽きて磯辺の 餅を焼く

    餅飽きて 初春気分 終わりけり

☆ 雪見餅 山茶花 

     山茶花や 白きベール 雪見餅

  炬燵にて 餅焼く君と 雪見餅

  火照る頬 餅焼ける間の 雪見かな

  山茶花や 餅焼く君の 頬染めし

     山茶花や 餅焼く君の 紅の艶

     初春や ほかほか炬燵 雪見餅

 
<グラタンやピザにいれる現代風アレンジなんかも>

   初春や ピザに餅を トッピング

<毎年田舎から送られるお餅のことです。>

   餅届き 時の移ろい 知らされる

<夫の母がついてくれるお餅は、九州ですから、 ひとつひとう丸めたお餅です。>

   田舎餅 丸めし母の 温もりや

<あんころ餅もたくさん加わってます。>

   あん餅や 母の苦労が 隠し味

<お餅の詰まった箱にいっしょに入ってくるのが きちんと洗って泥を落とした里芋やら大根やら、今年も届きましたが、おもたぁい段ボール箱です。>

   田舎餅 野菜も添えし 母心

   餅届き 箱の重さに 手を合わす

<それに孫達へのお年玉も隅っこに入ってます。>

   田舎餅 箱に隠れし お年玉

    田舎便 餅に隠れし お年玉

<病院で>

   主去り ベット座りし 鏡餅

   お正月 外泊ベットに 鏡餅

   病室に せめて初春 鏡餅

   介護終え 食べし雑煮の うまきかな

   デイルーム はられしメニュー 雑煮餅

   初春や 看護婦詰め所 餅香り

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