初鏡

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俳句


初鏡 映る娘に 嫉妬せり

来る年や 映す心の 初鏡 

メール読む 笑みを見つめし 初鏡

初鏡 薄さ気づきし 手ぐしかな

初鏡 幸せ色の 紅をひく


病越え 再び紅の 初鏡


床上げし 小さき肩抱く 初鏡

思い出や ピアスたしかむ 初鏡

火照る頬 熱さ楽しむ 初鏡

メール来て 紅ひく力 初鏡

 

季語について

 
  新年になって、初めて鏡に向かうこと及び、その鏡のことを言います。必ずしも女性に限らず、男性が新年の自分の姿を鏡に映すことも初鏡です。初化粧と関連があり、艶っぽい句が作れました。

 

俳句にまつわる話

 
火照る頬 熱さ楽しむ 初鏡

 この句は、例えば新婚さんの家庭に友達が訪ねてきてさんざん冷やかされる、まだ、ういういしい新妻はぽ〜と頬を赤らめ、化粧直しのために洗面所へ中座をする。そこの鏡に写った自分の真っ赤な頬にそっと手を当てその熱さを楽しむように微笑む。こんな情景を想像して読みました(笑)。


初鏡 映る娘に 嫉妬かな

 この句の元になったのが、<初鏡 娘の肌に 嫉妬する>です。どんなきれいで素敵な女性でも年をとります。肌のきめの細やかさや白さは、十代の娘にはかないません。もちろん、年を重ねることで、肌の美しさをカバーする別の魅力がでてくるものでが……。それを一言で言えば、私は<智慧>だと思います。

 まあ、それはさておき、鏡に写る自分にそっくりの娘、自分の若い頃を彷彿とさせる娘を見て、その姿に知らぬ間に嫉妬している母親。娘の成長を喜ぶと同時に自分の老いを感じて寂しくなる。な〜〜て、そんな女心を想像して作った句です。

 

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