初時雨

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俳句

初時雨 機嫌とる間の 雨宿り

老眼鏡 なじむ季節や 初時雨

初時雨 一つ心に 二つ傘

恋文の 文字も乱れし 初時雨

メール打つ 指先しっとり 初時雨

便りなき 友に文だす 初時雨

初時雨 炬燵したくの 母想ふ

西の京 大屋根たたく 初時雨

河童橋 人も潤ふ 初時雨

初時雨 竜馬訪ねし 京の路地

 

季語について

 その年の冬、初めて降る時雨のことである。時雨だけでも情のこもる季題であるが、初時雨というと、さらに懐かしいような気持がする。いよいよ冬が来たという感じがそこはかとなく漂う。

  時雨という気象用語はないそうで、時雨とは晩秋に降る<にわか雨>のことで、降ったと思うとすぐに止んで晴れ間が見えます。そんな所から、<女心と秋の空>にたとえられました。

 

俳句にまつわる話

 
 <初時雨 機嫌とる間の 雨宿り> 

  この句は、恋人同士がちょっとしたことでけんかをした。そんな時に初時雨があり、あわててどこかの軒先に雨宿りをする。そして、初時雨が上がるまでの間に、仲直りをするというイメージです。彼が必死で彼女の機嫌をとっている姿が目に浮かびませんか(笑)?

 <老眼に なじむ季節や 初時雨>

 これはこのままですね。私は、今年の9月頃から老眼をかけていますがかければかけるほど度が進んで、老眼がなければ近くの文字がみえなくなりました。そして、秋の深まりと共に、老眼鏡をかけている自分に、少しずつなれてきました。

 

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