柏餅

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俳句


柏餅 供えし孫の 自慢顔

新卒の ほっと一息 柏餅

ありがとう こめし柏の 餅甘し

ふぞろひの 柏の餅や 皺の数

母まねて 新妻作る 柏餅


連休に 帰りし孫と 柏餅

傷ついて 小さき我と 柏餅

白秋や 好み変わりし 柏餅

柏餅 息子生まれし 時戻る 

塾帰り 母のぬくもり 柏餅

 

季語について

◆五月

  粳(うるち)の粉をこねて作った餅に、餡や味噌を入れ、柏の葉に包んで蒸した餅菓子。端午の節句の供え物であるが、上方の粽(ちまき)に対して江戸で盛んであったという。

  柏餅とは、柏の葉っぱの上に、上新粉とくず粉(片栗粉)を混ぜてつくった「しんこ餅」に、あんを挟んだものを置き、柏の葉を二つ折りにして包んだお菓子の事です。柏の葉は、新芽が出ないと古い葉が落ちないという特徴があるので、これを「子供が産まれるまで親は死なない」=「家系が途絶えない」という縁起に結びつけ、「柏の葉」=「子孫繁栄」との意味を持ちます。

 

俳句にまつわる話


 <柏餅 供へし孫の 日焼け顔>

 この句は、大学を成績優秀で卒業し、希望の会社に就職した息子。その息子が社会人として、たくましく成長した姿を連休に故郷に帰ってきて、祖母の仏前に報告をするというイメージで作りました。たくましく成長した姿を、日焼け顔で表現をしました。でも、残念。<日焼け>は夏の季語で、一つの句に二つの季語で<季重ね>となり、だめだと先生から言われました。

 そこで、

<柏餅 供へし孫の 自慢顔>に変更です。

 

<新卒の ほっと一息 柏餅>

 年度始めはベテランでも何かと気を使い疲れるもの。まして、新卒であれば、なれない仕事となれない人間関係で、神経はピーンと張りつめたまま。そんな時、やさしい先輩のOLが休み時間に温かい番茶と一緒に柏餅を出してくれる。そのやさしい心づかいと、柏餅の甘さが、疲れと緊張をとってくれるわけです(笑)。そして、彼はOLに恋をするのでした(笑)。

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