猫柳

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俳句


仏前に 育てし母の 猫柳

母とゐる 心の中の 猫柳

仏前に 枯れて根を出す 猫柳

北上の 温き心に 猫柳

いとおしき 肩の丸みや 猫柳


猫柳 震へて笑ふ 小さき肩

控へめに されど毅然と 猫柳

髪を切る 決意の先に 猫柳 

心脱ぐ コートのほどに 猫柳

花の無き すき間を埋めし 猫柳

 

季語について


 猫柳とは、 池沼、河川のほとりや渓谷など、水辺を好んで自生する柳の一種です。早春、葉に先立って、銀ねず色の長楕円形の花穂を交互につけます。艶があり、絹糸状に柔らかく密生した毛は、猫の毛並を思わせることから、猫柳という名前がつきました。

 私は、猫柳から<早春><耐えて春を待つ><可憐さ><控えめで謙虚><芯の強さ>などを連想しました。また、あまり花のない時期の仏花となったり、昔はどこの家の庭にも咲いていたので、それを育てる母のイメージもあります。

 

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