紫陽花

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俳句

紫陽花の 寺に明日の 夢を買ふ

紫陽花や 雨のベールに 薄化粧

紫陽花の 狭庭に雨の 道しるべ

紫陽花の 寺に競ひし 女傘

相合の 傘に紫陽花 時を止め

紫陽花の 咲きて狭庭に 時を告ぐ

紫陽花や 濡れて艶増す 女傘

紫陽花や 重ねし君の 色淡し

紫陽花や 笑みてごまかす 花言葉

紫陽花や 雨音のみの 傘の中

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 紫陽花ほど雨の似合う花はありません。雨に濡れた紫陽花は一気に精気を取り戻し、鮮やかに変身します。

 紫陽花や 雨をベールに 薄化粧

 紫陽花や 雨さえ好きに させる人

 憧れの人と、相合い傘で紫陽花の花を見たらどんなに素敵でしょう。

 紫陽花や 時も止まりし 傘の中

 紫陽花や 雨音だけの 女傘

 

 私は蒲郡市の生まれで、25歳まで住んでいました。蒲郡は観光の町、温泉の町で、今でこそ、やや寂れてしまいましたが、三谷、西浦、形原と3つの温泉地があります。

 その中の形原温泉にあじさいの里があります。昨年初めてここに家内と行きましたが、6月最後の日曜日とやや時期遅れでしたが、それでも、見事なあじさいの花オンパレードでした(笑)。

 あじさいの 里にあふれし 傘の花

 あじさいの 里で明日の 夢を買ふ

 これは昨年蒲郡の形原のあじさいの里に、妻と行った時に、お土産にあじさいの苗木を買ってきて、庭に植えました。まだ、花は咲いていませんが、来年は……?咲くのが楽しみになっています。

 紫陽花や 雨のベールに 薄化粧

紫陽花ほど雨が似合う花はありません。雨によって鮮やかに生き返ります。普通なら、雨という−のイメージを+に変える逆転の発想をさせる、紫陽花は凄いと思います。

 

 恋の歌を少し(笑)。

 相合の 傘に紫陽花 時を止め

 紫陽花や 雨音だけの 傘の中

 紫陽花のことを俳句では、四葩(よひら)とも七変化とも言います。葩(ひら)はあまり聞き慣れない言葉ですが、漢和辞典を引くと、花びらのことだそうです。きっと、紫陽花の花びらが、四つの花びらからできていることからこの言葉が使われているものと思います。

 また、七変化は咲き始めは淡色で、時がうつるにつれて濃い碧紫色になり、花期の終りには赤みをおびてくることからそう呼ばれています。色が変わるということから、花言葉は「移り気」とか「心変わり」と言われています。

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