冬瓜
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俳句
冬瓜や 品書き黒き 墨の色 冬瓜や 母に合せし 霊供膳 冬瓜の しみたる味噌や 母の味 冬瓜を 好みし父の 七回忌 冬瓜を もらひて母に 電話かな
冬瓜の うまさわかりし 五十路かな 朝市や 冬瓜売りの 笑ひ皺 試歩の道 冬瓜汁の ありがたき 歯ごたへの なきが冬瓜 個性なる かみしめし 冬瓜青き 味と知る
冬瓜は、「冬」という名がつきますが、秋の季語です。 冬瓜の出荷は、6月から10月にかけて、最盛期は、7、8月で夏の野菜といえます。 では、なぜ“冬”瓜なのか?! 冬瓜の皮は、丈夫できめが細かいため水分を失いにくいことから、収穫してから常温で2、3ヶ月は品質を落とさず保存できる非常に珍しい野菜だそうです。 つまり、“冬までもつ瓜”だから、冬瓜と名付けられました。
俳句にまつわる話
冬瓜の名前の由来から、切らないで冷所に置いておくと冬までもつそうですが、切ると冷蔵庫に入れてもアッという間にだめになってしまうそうですね。 また、そんなに冬瓜の料理があるわけではなくて、おみそ汁の具か、煮付けるくらいのものだから、丸ごと大きなものをもらうと困るものだそうです。 冬瓜を もらいし妻の 苦笑い 冬瓜を もらいて母に レシピ聞く 父は冬瓜の好きな人でした。そこで、今回この季語で俳句を作る時1番最初に浮かんだのは父の顔です。早いもので、胃癌で亡くなって来年で七回忌になります。 冬瓜の味はどんな味? 私は一晩おいた、味噌の染みこんだ冬瓜のみそ汁が好きです。温めず、冷たいままで飲みます。 冬瓜の しみたる味噌や 母の味 歯ごたえが なきが冬瓜 我が個性 かみしめて 冬瓜青き 味と知る
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