夕焼

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俳句


夕焼や 呼ばれし友の 一人抜け

ブランコに 心も揺れし 大夕焼

この頃は 夕焼見ずと 母の言ふ

ゴム飛びの ひらりまぶしき 大夕焼

夕焼に 染まりし君の 薄化粧
 


指切りの あの日に戻す 大夕焼

夕焼に なじみし影の 去りがたく

琵琶湖路を 巡りて比叡の 大夕焼

夕焼に 燃ゆるがごとき 比叡山

夕焼や 九番ライトの 晴舞台

 

季語について

 
 

 

俳句にまつわる話


 夕焼けは、自分の少年の頃のことを思いださせてくれます。少年時代の私は、とにかく野球(その頃はソフトボール)が好きで、時間があると近所の仲間とソフトボールで遊んでいました。時間を忘れて夢中になって遊んでいるのですが、夕ご飯に時間になると、お母さんが呼びにきて、呼ばれた少年が一人抜け、二人抜けしていきます。まるで、母の声が最終回を告げるような感じがしたものです。

 夕焼や 呼ばれし友の 一人抜け

 ソフトボールは小学2年生の頃からやっていたと思いますが、近所の仲間でやるソフトには、暗黙のルールがあって打順と守備は、一番年少で下手な少年が、9番でライトを守っていました。滅多にボールはライトには飛んでいかないのに、ここぞという大事な時に限って、ボールが飛んで行き、エラーをして負けてしまいます。

 夕焼や 9番ライトの 晴れ舞台



 今日仕事帰りに、夕焼を見ました。何か久ぶりに見た感じ……。せつなくて郷愁を誘います。

 
 初恋の人とは違うけど、小学校の校庭にあった、ブランコには淡い思い出があります。
大ヒットした、ビリーバンバンの「白いブランコ」のような切ない思い出が……。

 人気のなくなった校庭に彼女と二人。楽しくて楽しくて、このまま時が止まってくれればと思っていた。夕暮れになり、帰らなければならないけど、帰りたくない、なんともやるせない気持ちは今でもはっきりとおぼえています。

 ブランコに 心も揺れし 大夕焼
 夕焼に なじみし影の 去りがたし

<恋の歌>
 夕焼に 染まりし君の 薄化粧
 夕焼に 最後の恋と 指からめ


 最近、夕焼けをみないような気がします。あんなに少年の頃は一杯見たのに……。でも、けっして夕焼けがなくなったわけではなくて、今もあの時と同じように夕焼けはあるはず……。

 それは今の自分が忙しく、心にゆとりがないからかな?それとも、少年の心を失ってしまったからかな?

 この頃は 夕焼(ゆやけ)見ないと 妻の言ふ

 昨年の秋、妻と琵琶湖路の紅葉をめぐるバスツアーに参加しました。その時に見た比叡山を真っ赤に染める大夕焼けは、それはそれは見事でした。

 琵琶湖路を 巡りて比叡 大夕焼
 夕焼に 燃えるがごとき 比叡山
 

 

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