枇杷

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俳句

身の丈の 幸せ知りて 枇杷を食む

隣人を 近くに感じ 枇杷を食む

手習ひに 飽きて隣の 枇杷熟るる

天主へと 下る坂道 枇杷熟るる

卓袱の ランチに枇杷の シャーベット

受け売りの 蘊蓄たれて 枇杷を食む

塗り替への 足場のそばに 枇杷熟るる

月めくり 半分なりて 枇杷熟るる

吾子のため 種取り枇杷を 冷やす母

不揃ひの もらひし枇杷の 味深き
 

 

季語について

 六月
枇杷は暖地を好む。太平洋岸に沿った地方では枇杷の木が林をなしているのを見かける。姿もよく果肉が厚く甘くて、剥くと果汁がしたたり美味である。果皮のうぶ毛に水玉を光らせてガラス器に盛られたさまなど美しい。長崎県の茂木(もぎ)枇杷が古くから名高い。

葉の形が楽器の琵琶(びわ)に似ているところから名づけられた。「枇杷」の字は漢名から。

「桃栗3年、柿8年」ということわざがあるが、さらに「ビワは9年でなりかねる」ということ わざもあるらしい。 (実はなかなかできないらしいです)

葉は厚くて固く、薬用になる。
 

 

俳句にまつわる話

 形から入るタイプの私は、枇杷を買ってきてと家内に言ったら、隣の家に枇杷がなっていると教えてくれました。

さっそく2階の私の部屋のカーテン越しに見ると隣の庭に枇杷が一杯熟れていました。今までここに住んで20年近くになりますが初めて気がつきました(笑)。

で、昨日家に帰ったら食卓に枇杷があるのでどうしたのかな?と思ったら
お隣さんからいただいたそうです。

そこで一句

枇杷もらい 隣の塀の 低きかな
枇杷もらい 見透かされたと 妻笑ふ
不揃いの もらいし枇杷の うまきかな

 枇杷は6月、初夏の季節で、
長崎県の茂木(もぎ)枇杷が古くから名高いそうです。

 天守へと 下る坂道 枇杷熟るる
 
 長崎のグラバー邸から大浦天主堂へと向かう坂道を詠んで見ました。
 
 枇杷は、葉の形が楽器の琵琶(びわ)に似ている所から名づけられたそうです。
また、「桃栗3年、柿8年」さらに「ビワは9年でなりかねる」ということわざもあるそうです。そのくらい、実はなかなかできないらしいです。

 受け売りの 蘊蓄たれて 枇杷を食む
 
 今回の一番気に入っている句は

 身の丈の 幸せ知りて 枇杷を食む

 年を重ね、自分の大きさ、自分にあったもののが一番だとわかってきました。それを知ることができたのは年をとった役得でしょう。


枇杷を身近に感じようと、家内にスーパーで枇杷を買ってきてほしいと頼みました。でも、まだスーパーに出るには時期が早いと言われ、その代わり、隣の家の庭に枇杷がなっていることを教えてもらいました。

 その家は裏側にあたり、普段は見ません。私の部屋は2階にあるのですが、早速、カーテンを開けて窓から隣の庭を見ると、そこには枇杷がたわわに実っていました。

 <灯台もと暗し>ですね(笑)。それと同じことが、季語<鈴蘭>の時に、家の庭に<鈴蘭>が咲いていたことに気づいたことがあります。俳句が縁で、今まで気づかなかったことに気づくことは人生が広がったみたいで、宝くじに当たったような気分です。

 で、そんな話をしたら、2日後にお隣さんから、枇杷をいただきました。自分の気持ちを見透かされたようで、ちょっと恥ずかしかったけど、早速食べてみました。

 隣人を 近くに感じ 枇杷を食む
 手習いに 飽きて隣の 枇杷熟るる
 不揃いの もらいし枇杷の 深き味
 

 

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