春炬燵

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俳句

行間を 探る夢路や 春炬燵

良き夢と わかりし寝顔 春炬燵

母逝きて 残りし思ひ 春炬燵

亡き母の 温もり残る 春炬燵

旅立ちの なごり残すや 春炬燵

菜箸の 仕草可愛いや 春炬燵

卒業の 消せぬアドレス 春炬燵

片思ひ せめて夢にて 春炬燵

求愛の 猫とまどろむ 春炬燵

同じ夢 見たき君との 春炬燵
 

 

季語について

 三月

 春になっても使う炬燵をいう。明るく艶な雰囲気もある。ほとんど使われることもなく疎(うと)んぜられながら置かれていることもある。
 

 

俳句にまつわる話

  炬燵は本来冬のものだから、春になればかたづけます。でも、春になっても、まだ寒い日に戻ることがあるから炬燵をしまうタイミングは難しいですね。何となく、片づけられずに部屋の隅に置いてあります。

 春は確実に近づいているけど、まだまだ寒い時がある、そんな季節を表していると思います。

 私の母は、こたつ命の人でして年中炬燵を使っていました(笑)。さすがに夏は電気を入れずに、薄い掛け布団で調整はしていましたが……。亀のように、首だけ出して炬燵布団にくるまっている年老いた母を思いだします。まだ、句は完成はしていませんが、そんな母のことを歌った句をいくつか作りました。

 母逝きて 残りし思ひ  春炬燵
 亡き母の 温もり残す  春炬燵
 主なく  さびしき景の 春炬燵


 季語<春炬燵>とは、春に使う炬燵のことですが、季節が、春ということで、恋のめばえ、恋の予感、恋の希望などの明るいイメージを感じます。

 また、こたつそのものが艶っぽいものですが、さらに春炬燵となると、さらに艶っぽい。そこで、恋の句をいくつか……。

 菜箸の しぐさかわいや 春炬燵
 片思ひ せめて夢にて  春炬燵
 同じ夢 見たき君との  春炬燵

 

 

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