辛夷

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俳句

入学の 晴れて心に 咲く辛夷

生き方が 下手とつぶやく 辛夷かな

千の風 なりて辛夷の 樹を揺らす

絵手紙に 辛夷の花の 季節かな

日常と なりて新卒 辛夷咲く

イチジクに 添へ木の季節 辛夷かな

甲子園 悔しさバネに 辛夷咲く

花もない 無縁仏に 辛夷の樹

辛夷の樹 覗く青空 なほ蒼し

退職の なごりの空に 辛夷咲く

 

季語について

 「コブシ」という名前は、蕾が開く直前の形が子供のにぎりこぶしに似ているところからつけられたそうです。 また、辛夷の実はゴツゴツしており、その実の具合から「こぶし」と命名されたという説もあります。 「ハクモクレン」に比べると、花がやや小さく、花びらが細くて開き気味となっているのが特徴です。

 早春に冬枯れの山野で咲き、遠くから目立つため、かつては春の農作業の目印にしたといわれてます。特に、青空に向かって咲いている辛夷は「天上の花」という称号に相応しい、と私は思っています。

 今では実業家として有名になった、千 昌夫のヒット曲「北国の春」に

    白樺 青空 南風 コブシ咲く
    あの丘 北国の ああ北国の春

と歌われているように、北国の山の春の訪れはコブシの花で代表されるとか。農村では、この花を農耕暦代わりとして「田打ざくら」とか「種まきざくら」とも呼んで、農作業はじめの目安としていたといわれています。そして、開花の時期ばかりではなく、花の咲き方、花が咲いている期間などにも深い関心を寄せて、その年の作物季節の豊凶をも予測していたとも言われるほどに、生活に密着していた植物の一つでした。 
 

 

俳句にまつわる話

  「コブシ」という名前は、蕾が開く直前の形が子供のにぎりこぶしに似ている所からつけられたとか……。また、辛夷の実はゴツゴツしており、その実の具合から「こぶし」と命名されたという説もあるそうです。

 早春に冬枯れの山野で咲き、遠くから目立つため、かつては春の農作業の目印にしたといわれてます。特に、青空に向かって咲いている辛夷は「天上の花」という称号に相応しいと思います。

 そこで一句。

 千の風 なりて辛夷の 樹をゆらす
 絵手紙に 辛夷の花の 季節かな
 日常と なりて新卒 辛夷咲く
 花もなき 無縁仏に 辛夷の樹
 

 

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