野焼

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俳句

野火の景 遺し心に 生きる父

少年の 虚しき心 しみる野火

ごつき手の 祖母の卵かけ 野火の朝

行間に 隠れし思ひ 探す野火

青春の 無限と思ふ 遠き野火

回り道 二人の向かふ 遠き野火

旅立ちに 悲しみ集め 野を焼きぬ

プロポーズ 迷い断ち切る 野焼かな

片思ひ 野火と重ねし 時セピア

野球部の 冬に鍛えし 野火の道
 

 

季語について

二月

 早春、野の枯草を焼くことである。風のない穏やかな早春の一日、野や畦や堤などを焼いている風景は現在もよく見られる。

 これは害虫駆除にもなり、灰が肥料ともなるためである。庭園の芝生も同じ目的で焼かれる。野火(のび)は野を焼く火をいう。
草焼く(くさやく)。畦焼く(あぜやく)。芝焼く(しばやく)。
 

 

俳句にまつわる話

 
 野焼きとは、ご存じのように、早春、野の枯草を焼くことですが、それが許されていたのは昔のこと。そのため思い出の中の野焼きということで句を作ってみました(笑)。また、野火(のび)も野焼きと同意語です。

 <野火の景 遺し心に 生きる父>

 私の父は絵が上手で、油絵の作品をいくつか遺してくれました。その中に一つに、田舎の風景として野火を描いた作品がありそれが、玄関に飾ってあります。それを見るたびに父のことを思いだし、いつまでも心の中に生きていることを感じていました。

 <ごつき手の 祖母卵かけの 野火の郷>

 私の父方の実家が幸田町にあり、子供の頃、実家に泊まりに行っていました。夫を若い時になくした祖母は、農家で苦労してたくさんの子供を育ててきました。その頃は贅沢品だった生卵を泊まった日の朝には、祖母がそのごっつい手で割って、たまかけご飯を作ってくれましたそのおいしくてなつかしい味が、しわくちゃの祖母と重なって思いだされます。

 ところで、皆さんは<たまごかけご飯>のことを<たまかけご飯>と言いませんか?今日俳句の時に、この句を読んだ先生から<卵かけご飯>とは何か?と聞かれました。説明をしたのですが、他の方もわからないみたいで、私的には????でした。

 私は子供の頃から、ずっとそういっていたので、狐につままれたようでした。これは三河の方言なのでしょうか(笑)?
 

 

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