菊人形

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俳句

写真機の写せぬ思ひ菊花展

金賞を支えし添木菊花展

穏やかになれば穏やか菊人形

水やりに足下濡らす菊人形

菊人形纏し菊に隔てなし
 
評判に耳そばだてし菊花展

水やりに頬ほんのりと菊人形

菊を見る夫を見つめし菊花展

ごつき手の綿棒使ふ菊花展

家光も小屋に入れたり菊花展

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


  11/5(火)代休の日に、名古屋城に菊人形と菊花展を見てきました。
句を作るようになってから、普通に花を観賞することができず、
気がつくと、菊の花以外に何か俳句のネタはないかと、
きょろきょろして探している自分がいて、苦笑をしています(^_^;)。

 まずは菊人形です。
正門から入って天守閣に向かう途中に、仮設小屋が作ってあって、
7体の菊人形が飾ってありました。
家光が名古屋城の本丸御殿の落成祝いに来た時の様子を描いたもので、
家光を迎える城主の義直とその妻春姫、
後太刀持ち、家来、中間、御殿女中です。
 
 家光を小屋に入れたり菊花展
 菊人形纏ひし菊に隔てなし


 何事もそうですが、自分の心が平穏で穏やかな時には、菊人形の顔も
穏やかに見えるものです。
そういう意味では菊人形も心の鏡とも言えますね。

 穏やかになれば穏やか菊人形


 朝夕の2回菊師が水やりをするそうで、
私が見たのは水やりの中間の時だったので、
小菊もややくたびれていましたが、
きっと水やりが終われば、元気を取り戻しますよね。

 水やりに袂を濡らす菊人形
 水やりに頬ほんのりと菊人形
 

 次は菊花展です。
 この日は賞を決める前の菊花展だったので、
どれが金賞かわかりません。
プロが見ればわかるのでしょうが、私のような菊に疎い素人には、
よくわかりません。
きっと、この花は金賞だよって言われると、
その目で見るので、見事な菊に思えてきます(^_^;)。

 金賞の金賞として見る菊花展

 明日が賞を決める日とかで、花を入れ替えたり、
花を整えたりしている、老人や夫婦連れがいました。
誰もが、自分が端正を込めて作った菊を慈しみ
その見つめる目は恋する人のようです(^_^;)。

 菊作りに生き甲斐を見つけた夫を、
微笑みながら見つめている妻
その微笑みはあきらめとも、達観ともとれるものです(^_^;)。

 恋人の如く見つめし菊花展
 微笑みて 菊見る夫を 見つめけり
 
 ※ 短歌や俳句では夫のことを(つま)と読みます。

 初めて知ったのですが、
菊の花びらの手入れにはピンセットと綿棒を使います。
老人が綿棒を器用に使って繊細な作業をしています。
菊のお色直し、その愛情の込め方は我が娘のようです。

 ごつき手の綿棒使ふ菊花展

 人が自分の作品をどう見ているのかは興味があるもので、
自分の菊のそばに何気なく立っていて、
人の話を立ち聞きしています(*^_^*)。

 評判に耳そばたてし菊花展

 菊作りは盆栽と共に、昔のご隠居さんの道楽の定番でした。
何事もそうですが、極めて行くには大変な苦労があるものです。
その意味で、菊の花一本一本に、その人の人生が見え隠れしています。

 写真機の写せぬ思ひ菊花展
 菊花展一本ごとにドラマあり
 

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