とろろ汁
俳句 |
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亡き今も父の背を見るとろろ汁 生きがいは母の喜びとろろ汁 生き方の不器用似たりとろろ汁 こだわりの父の好みしとろろ汁 父母のけんか持ち越すとろろかな |
亡き父母の仲良き頃やとろろ汁 子の去りてしばらくぶりのとろろ汁 厨房に父の声ありとろろ汁 気の置けぬ人なりて後とろろ汁 とろろ汁父の丸みの淋しけれ |
季語について |
俳句にまつわる話 |
私はとろろ汁から、亡き父を思い出しました。 料理にもいろいろとこだわる人でしたが、 とろろは特にそうでした。 厨房に父の声ありとろろ汁 こだわりの父の好みしとろろ汁 厨房で、母がすり鉢を持って、 父がすりこぎを握ってとろろを練っている姿はとても 仲が良くて、子供心にも印象に残っています。 亡き父母の仲良き頃やとろろ汁 私の両親は夫婦げんかをすると、 口を利かないことが何日も続くので、とても嫌でした。 親の喧嘩ほど子供にとって嫌なものはなく、 早く終わってくれないかと強く思ったものです。 父母のけんか持ち越すとろろかな 私から見て、人づきあいがへたな父は 生き方が不器用だと思っていて、 自分ならもっと器用に立ち回れると思っていましたが、 還暦をもう少しで迎える今となって、 自分も父と同じく生きることがへたで、 不器用だとわかってきました。 やはり、子は親に似るものです(*^_^*)。 生き方の不器用似たりとろろ汁 厳しくて、無口な父は怖い存在でしたが、 私は大学生になった頃から、やさしくなりましたが、 その角がとれて丸くなったことが、なぜか寂しく感じました。 とろろ汁父の丸みの淋しけれ |