水仙
俳句 |
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廃屋の 今も夢見みし 黄水仙 黄水仙 植えて寂しさ 捨てにけり 片思ひ 夢は饒舌 黄水仙 酒蔵に 新酒の香り 黄水仙 利き酒に 賑わふ蔵や 黄水仙 |
山車蔵の じっと時待つ 黄水仙 ミサ終えし 小さき教会 黄水仙 黄水仙 路地に老舗の 煎餅屋 火之神を 祭る灯籠 黄水仙 黄水仙 闇を深めし 常夜灯 |
季語について |
俳句にまつわる話 |
水仙とは歳時記によりますと、 **** 厳しい寒さの中に咲く水仙は気品があり、香気が漂う。 伊豆半島、淡路島、福井県の越前岬などで見かける野水仙の群落も、 また心惹かれる情景である。 「黄水仙」は遅れて春に咲く。 **** とあります。 水仙は冬の季語ですが、 この水仙は古くからある白い水仙のことです。 それに対して黄水仙は南欧原産のもので、 水仙より開花が遅く、春の季語になっています。 水仙はナルシストの語源になっているそうで、 「ギリシア神話で,美少年ナルシッサスが水面に映る我が姿に見とれ, そのまま花になってしまったのが水仙」とあります。 水仙という花は飾り気のないシンプルな花と葉から、 清楚というイメージを受けますが、 私は清楚の中に、どこか寂しさを感じました。 酢の倉に群れて寂しき野水仙 亡き母の白き半襟野水仙 片思ひ夢は饒舌野水仙 |