山茶花
俳句 |
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山茶花や 浜のもてなし 蟹の汁 山茶花の 路地に甘酒 香りけり 山茶花の 風と戯むる 寺の路地 山茶花や おしくらまんじゅう 人温し 山茶花や 路地に老舗の 麺処 |
山茶花や 馬関の空に 塔五重 山茶花や 女船頭 伊那ことば 柳川の 嫁入り船や 姫椿 山茶花や 巫女も欠伸の 天満宮 蹲ひに 白き山茶花 みすず館 |
季語について |
俳句にまつわる話 |
11月7日(土)の栄句会の季語は<山茶花>でした。 別名<姫椿>といいますが、素敵な名前ですね。 山茶花(さざんか)は冬の季語です。 ツバキ科で、椿に似た花ですが椿より小ぶりです。 晩秋から初冬にかけて、紅色あるいは白色の5弁の花をつけます。 山茶花というと、すぐに童謡の<たきび>が口に出て、 その途端、子供の頃がなつかしく思いだされます。 今のように家に暖房器具がたっぷりとあったわけでもなく、 学校にもストーブがありませんでした。 そんなわけで、昔の冬は寒かったというのが印象に残っています。 学校までの寒さを避けるために、たき火をしたり、 <おしくらまんじゅう>をして体を温めました。 この温もりは、人の心の温もりですね。 <おしくらまんじゅう>は今でもやるのかな? それから、<かけっこ>も立派な遊びで、 むやみやたらに走ってそれが楽しい遊びでした(*^_^*)。 貧乏な時代の子供の智恵ですね。 <かけっこ>は、<走りっこ>とも言っていました。 近所の子供を二手に分けて、 路地をぐるっと一周する、 チーム対抗の<走りっこ>をしていました。 足の速さで英雄になれる時代でした。 そこで一句 山茶花やおしくらまんじゅう人温し 山茶花や寒椿と聞くと真っ赤な花が浮かびますが、 白い花の山茶花や寒椿もあり、潔さを感じます。 人物で例えたらだれになるかと考えて見たら、 吉田松陰と金子みすずが思い浮かびました。 幕末の志士の思想的な支え、指導者であった吉田松陰の生き方、 生き様は、義を尊び、義に死ぬという潔いものでした。 以前、彼の萩にある実家や、松下村塾を見ましたが、 もの質素で狭く、ここから日本の夜明けが始まったのかと思うと 考え深い思いで一杯になりました。 金子みすずは、童謡詩人として有名ですが、 ろくでもない夫のために、悲劇的な人生でした。 それでも、子を愛し、自然を愛し、 人の愛を信じて生きた姿は 彼女の優しい詩になって残っています。 以前山口県長門市にある彼女の記念館を訪ねました。 そこで一句。 松蔭の生き様白き姫椿 蹲ひに白き山茶花みすず館 |