春愁

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俳句


春愁や 名簿に増えし 二重線

行間を 読めば春愁 広がりぬ

父方は 胃癌の系譜 春愁ひ

春愁や 帰国せし子の 職探し

春愁や 妻から聞きぬ 娘の話
 

娘を打ちし 時の止まりて 春愁ひ

飲み過ぎし 朝の後悔 春愁ひ

何げなき 妻の一言 春愁ひ

小心の 似たる息子や 春愁ひ

過ぎし恋 思えば心 春愁ひ
 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 長い冬が終わり、待ちわびていた春が訪れると、
人はなんとなく心が弾み、わくわくして、
何か良いことがありそうな気がしてくるものです(*^_^*)。
でも結局は何も良いことは起こらないのですが、
その期待感が素敵ですね(*^_^*)。

 しかし、それとは裏腹にちょっとした想いや
心配事が心をよぎり、暗い気持ちになります。

 春愁や名簿に増えし二重線

 大学の同級会が還暦(定年)を期に開かれ、
25人の参加者がありました。
私は幹事でしたので、
連絡用の往復はがきを名簿を見て送りましたが、
宛先不明で戻ってきたり、身内の方から
本人は亡くなったとの連絡があったりしました。

 まあ、60才にもなると何人もの物故者がいるのはあたり前としても、
名簿に二重線を引いていくのはなんとも感慨深いものがあります。

 父方は胃癌の系譜春愁ふ

 私はいつまで生きられるかわかりませんが、
もし癌になるとすれば胃癌だと思っています。
私の父は77才の時に胃癌で亡くなりましたが、
その後を追うように、父の兄と弟も胃癌で亡くなっています。
人はDNAにその人の運命が記されているといわれますが、
きっと私のDNAには、はっきりと胃癌で死ぬと書かれているのでしょう(^_^;)

 何気なき妻の一言春愁ふ

 人間関係は難しいもので、
人間を60年もやってきてもいっこうに上達しません(^_^;)。
たまに会う人ならなんとか我慢もできますが、
いつも一緒にいる人との人間関係は難しいものです。
人は感情の動物ですから、体調や気分が悪い時もあるもので、
その時は勢いで言ってしまい、後で後悔をします。
まあ、それはお互い様ですが……(*^_^*)。
 

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