綿虫

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俳句


黄昏の 綿虫寂し 人恋し

綿虫や 土蔵に名残り 船問屋

綿虫や 漱石と待つ 無人駅

綿虫や 島に一つの 駐在所

綿虫や 地蔵揃ひの 赤帽子
 

綿虫や 静かに激し 手話二人

綿虫や 卯建の残る 宿場町

綿虫や 宿場横切る 廃止線

綿虫や 娘の恋を 妻に聞く

寂しさを 連れて綿虫 飛びにけり

 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 12月3日(土)栄句会の季語は<綿虫>でした。

 綿虫は、初冬の頃、風もない静かな日に
小さな綿のように、空をゆるやかに飛んでいます。
大きさは二ミリくらいで、白く見えるのは分泌物です。

 曇りの日とか、黄昏時によく飛び、
初冬の寂しさをさらに増します。

 黄昏の 綿虫寂し 人恋し
 寂しさを 連れて綿虫 飛びにけり
 
 篠島にハイキングに行き、
島を巡る中で、かつての船問屋を見つけました。
そこには大きな屋敷蔵がありますが、
漆喰が剥落し、朽ち果てていました。

 今は朽ち果てた蔵ですが、
その名残りから、繁栄し栄華を極めていた
船問屋を伺い知ることができます。

 綿虫や 土蔵に名残り 船問屋。

 電子書籍で無料の青空文庫から、
漱石をダウンロードして読んでいます。
「こころ」「草枕」そして今は「夢十夜」を読んでいます。
一人でハイキングに行く時は、
無人駅で電車を待っている時などに読んでいます。

 綿虫や  漱石と待つ  無人駅
 
 ハイキングで、中山道の宿場町として栄えた
赤坂宿に行きました。
そこには卯建(うだつ)という
漆喰でできた防火壁がありました。
その家並みがいくつか残り、
かつての宿場町の風情を感じさせてくれました。

 綿虫や 卯建の残る 宿場町
 

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