夜長

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俳句


長編を 終えて夜長の 余韻かな

ホームズと なりて謎解く 夜長かな

漱石も 鴎外も居て 長き夜を

知らぬ母 妻から聞きし 夜長かな

このページ この章までと 長き夜を
 

大人へと 幾たび超えし 夜長かな

恋の文 書きて朝待つ 夜長かな

言の葉の踊る夜長や恋の文

長き夜は 柱時計を 友として

長き夜は 天使と悪魔 戦ひぬ

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


9月17日(土)の栄句会の季語は<夜長>でした。

 夜長とは秋の夜が長く感じられることです。
 夏至を過ぎると夜は一夜ごとに伸び、冬至に最も長くなります。
反対に日は短くなりますが、なぜか俳句では「夜長」は秋、
「日短」は冬と使い分けています。

 それは、秋は暑い夏を越して涼しい夜が長くなるのは
嬉しいからであり、冬は暖かな昼間が短いのを惜しむからだそうです。

 そして「日永」を春、「短夜」を夏とするのも同じ考え方です。
どれも昼と夜の実際の長短ではなく、昼と夜とに対する
人の気持ちを表す所からでた季語で、日本人の心情の豊かさを
示すものです。

長編を 終えて夜長の 余韻かな
ホームズと なりて謎解く 夜長かな
漱石も 鴎外も居て 長き夜を

 秋は食欲の秋、スポーツの秋でもありますが、
読書の秋でもあります。
私は若い時は自分でも読書家だったと思いますが
最近はあまり読書する習慣がなく、
まして長編小説を読む根気はなくなりました。
でも若い時は、「戦争と平和」や「カラマーゾフの兄弟」などを
夜を徹して読んだこともありました。

 最近はまっているのが電子書籍です。
ライフタッチノートのビューワーを使って、
青空文庫(著作権の切れた無料の本)を
ダウンロードして読んでいます。

 500冊ばかりあるので、
ダウンロードの高い方から順に読んでいます。
ヴィヨンの妻、羅生門、銀河鉄道の夜などを読み。
今は走れメロスを読んでいます。
老眼の私には字が大きくて読みやすく
何より名作がただで読めるというのがいいですね(*^_^*)。

 大人へと 幾たび超えし 夜長かな
 長き夜は 柱時計を 友として

 少年の頃の私は結構神経質で、
寝付きの悪い少年でした。
特に夜長の眠られぬ夜はつらいもので、
遠くで鳴る居間の時計が気になり、
その音から、何時だ数え、
あれから少ししか時間が経っていないと知り
がっかりしたものです(;>_<;)。

 眠られぬ理由は、恋の悩みなどいろいろありますが、
どれも少年期独自のもので、
それを越えて少年は青年へ、そして大人へと
成長をしていくのだと思います。

 私は初恋の人や片思いの人のことを考えて
目がさえて眠れなかった夜長のことを覚えています。

 恋の文 書きて朝待つ 夜長かな
 言の葉の踊る夜長や恋の文

 今はメール全盛の時代だから、
手書きの手紙を書くことはほとんどなくなりましたが、
30年〜40年前の私の青春時代には、
恋文を書きました。

 特に秋の夜長にはペンがはかどるもので、
ついつい調子にのっている内に、
言葉が独り歩きして、普段なら恥ずかしく
言えない甘くてきざな言葉が、ごく自然と
でてきて、恋文を彩ります。
 

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