更衣

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俳句


梶棒を  抱(いだ)く若衆  更衣

笠に照れ  隠す踊り手  更衣

人に笑み  戻りて飛騨の  更衣

学舎に  オセロの如き  更衣

ツアコンの 束ねし髪や 更衣
 

歌ふよに  しゃべる異人や  更衣

窓開けて  合掌村の  更衣

拍子木に  はやる若衆  更衣

山車去りて  香具師の昼餉や  更衣

山車海へ 渡す婦警や 更衣
 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 5月19日(土)の栄句会の季語は<更衣(ころもがえ)>でした。
更衣と聞くと、冬の制服から夏の制服へのチェンジが思い浮かびますが、
それ以外にも、例えば季節とか、人の気持ちとか
生活とか行事とかにも更衣はあると思います。
そんなふうに更衣を拡大して俳句を作ってみました(*^_^*)。

 教室にオセロの如き更衣

 最近の高校生はブレザータイプの制服が多く、
詰め襟の学生服は少数派になりました。
(セーラー服も同じです)

 私が学生だった頃は、もちろん詰め襟の学生服で、
6月1日が更衣の日と決まっていて、
それまでの日がどんなに暑くてもじっと我慢して、
詰め襟を着続け、みんな一斉に6月1日に更衣をしたものです。
決まりといえばそれまでですが、あまり意味のない決まりですね(^_^;)。
(最近は一週間前後の余裕を持たせています。)

 そのため6月1日の教室は
オセロゲームのように、それまでの真っ黒い景色が
真っ白な景色へと一瞬にかわり、
教室にぱっと花が咲き、明るく華やかになります。

 梶棒を抱く若衆更衣
 山車去りて香具師の昼餉や更衣
 拍子木にはやる若衆更衣

 5月4日の休日に半田亀崎の潮干祭りに行ってきました。
行ってきたといっても、家から車で10分位の所ですが……。(^^;)。
亀崎の潮干祭りは、豪華絢爛な5台の山車が
国の重要文化財になっていることと、
その山車が海へ曳き出すということで有名です。

 まあ、海へ山車を入れるといっても、
あまり深くはいると大事な山車が濡れてしまいますので
山車を曳く人間は海の中へ入りますが、
山車は車輪(ゴマという)が海水には浸かり程度です。

 山車祭りの花形はなんといっても山車を操る若衆です。
特に後ろの梶棒を握る5〜6人が重要です。

 祭りというと、未成年の泥酔した姿が目に付き
いやな思いをしますが、
この亀崎の潮干祭りは、
さすがに国の文化財という誇りと自覚のため、
それがほとんどありません。
髪の毛も極端な染色はなく、
良識のある大人のお祭りです(*^_^*)。

 GWに飛騨の白川郷の
合掌村に行きました。
ライトアップされた雪の白川郷は幻想的で素敵ですが、
今回は雪のない、遅桜と黄水仙の咲く合掌村でした。

 合掌に飛騨のたつきや更衣
 窓開けて合掌村の更衣
 人に笑み戻りて飛騨の更衣

 たつきとは、生活の手段とか、生計のことです。
ツアコンの話では、白川郷に合掌造りの家ができたのは、
米ができないために、蚕を飼って
生計をたてるために、屋根裏の2階、
3階が必要だったからだそうです。

 また、長男以外の男は、生涯嫁がもらえず
この合掌の家に居候として同居しなければならないという、
悲しくもつらい話も聞きました。
 

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