遅日
俳句 |
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撫牛の 鼻先光る 遅日かな 遅き日に 補助輪やがて 浮きにけり 河川敷 遅日に響く 気合ひかな 鈴なりの 絵馬の輝く 遅日かな 遅き日や 巫女に社の 縁起聞く |
謂(い)われ読み 仰ぐ神木 暮かぬる 艶(あで)やかに 巫女の舞ひたる 遅日かな 神木に 結ぶ神籤や 暮れかぬる ドリブルの 球の気侭(きまま)さ 暮遅し 母の呼ぶ 声まで続く 遅日かな |
季語について |
俳句にまつわる話 |
3月17日(土)栄句会の季語は 遅日(ちじつ)でした。 遅日とは、春になってだんだんと日が長くなること、 つまり日が暮れるのが遅くなることです。 一番日が長い時は夏至ですが、 生活感覚として一番それを感じるのは 冬から春への移り変わりの時ですね。 同じような季語として日永(ひなが)があります。 反対に秋から冬にかけて日が短くなっていくことを 日短(ひみじか)とか、短日(たんじつ)といいます。 これらの言葉は、四季のはっきりした日本ならではのことで、 それによって培われた日本人独特の感性ですね。 <暮遅し>とか<暮れかぬる>とも言われます。 名鉄ハイキングで豊田市の梅を見に行ってきました。 今年の梅は寒さのせいで、いつもより開花が遅く、 それが幸いして、満開の時に見ることができました。 梅は桜のような華やかさはないですが、 その分落ち着いた美しさがあります。 また一種類だけだと飽きますが、 いろいろな品種の梅が見られると、飽きないものです。 桜は花を見せ、梅は枝振りを見せるような気がします。 そこで一句 枝振りを競ふが如し梅の花 挙母(ころも)神社に行きました。 境内は広くゆったりとした神社でした。 ちょうど車祓いをやっていて、 さすが豊田市だと思ったものです。 そのお祓いをしていたのが正装に木沓を履いた 女性の神主さんだったので、しばし眺めていました(*^_^*)。 男性と違ってどこか所作にも柔らかいものがあり、 初春の感じがよくでていました。 そこで一句 所作丸き女神主暮れかぬる その神社に撫牛(なでうし)がありました。 撫牛には、自分の身体の病んだ部分や具合の悪い部分をなでたあと、 その牛の身体の同じ所をなでると、悪いところが牛に移って 病気が治るという風習があります。 また撫牛は病気のみならず、願い事が叶うとも言われています。 青銅製の撫牛の、 鼻先にかけての部分だけが光り輝いていたのが印象的でした。 九州の太宰府天満宮で撫牛を初めて見て、 学問の神様である天神様独特のものと思っていましたが、 そうでもないとわかりました。 そこで一句。 撫牛の鼻先光る遅日かな 私は子煩悩ではないですが、 それでもひとなみに父親らしいことはしたつもりです(^_^;)。 長男と近くの公園でキャッチボールをしたり、 自転車の練習をしました。 そんな昔を思ってよんだ句です。 春の一日、公園で父と子が自転車の練習をし、 何度も何度も練習をするうちに、夕方近くになって ようやく補助輪が浮いていく そんな情景が目に見えれば幸いです。 そこで一句。 遅き日の補助輪やがて浮きにけり 同じ日に、豊田スタジアムへ行き、 恐竜の骨のような橋を渡りました。 その日はグランパスの試合があるということで、 すごい人出でした。 橋の下の河川敷では少年達がサッカーの練習をし、 年代別に別れて、真剣にドリブルの練習をしていました。 少年たちの夢はきっとJリーガーなのでしょう(*^_^*)。 そこで一句。 ドリブルの果てなく続く遅日かな 河川敷遅日に響く師の気合ひ ドリブルの球の気侭さ暮遅し |