俳句の目次へ 

 

俳句

鞘堂を 包む蜩 翁塚

鶴ヶ城 蜩と待つ 市バスかな

蜩や 浄土求めて 光堂

陣跡に 数多蜩 鳴けにけり

蜩や 会津見下ろす 自刃跡
 
蜩の 荒城に悲話 ありにけり

蜩の 山寺降りて 芋煮かな

蜩や 盛者必衰(じようしやひつすい) 青葉城

蜩や 枯れし思考の 甦る

蜩や 魅入る父の書 仏の間

 

季語について


 蜩は、夏の終わり頃の朝や夕方に鳴きます。
その鳴き声から<カナカナ>ともよばれています。

 蜩から連想するのは、夏の終わりです。
暑い夏が終わって、もうすぐそこに秋が来ている感じがします。
暑さのやわらぎにほっとすると同時に、
過ぎゆく夏を惜しむ気持ちも入り交じります。

 今年の夏の大きな出来事の一つに、
左右の奥歯の手前の歯を2本抜いたことがあります。

 肉などの硬いものを噛む時に違和感があります。
今更ながら、歯の大切さを思いましたが、
それと同時に、歯の手入れを怠った自分が情けなく感じました。

 歯を抜く前の日は、その時の光景とその後のことを考えると、
悲壮な気持ちになっていましたが、
歯医者は私のそんな気持ちなどお構いなしに
なんの躊躇もなく歯を抜いてしまいました。

 蜩や 鉗子手荒に 奥歯抜く

 小筆を始めて8年が過ぎました。
今は草書を習い始めましたが、
なかなか上達しません(;>_<;)。

 私の父は書の師範の資格を持っていて、
自宅で書道教室を開いていました。

 昔はそれほどでもなかったのですが、
小筆を習った今となって父の書を見ると、
その見事さに思わず魅入ってしまいます。

 書を習い、自分も上達することによって、
ようやく父の書のすごさがわかる所まできました。
それにしても、父のレベルまで行くには、
後何年かかるのでしょうか?
いや一生無理かもしれません(><)。
もし、父が生きていたら
いろいろと指導をしてもらえたのにと、残念でなりません。

 蜩や 魅入る父の書 仏の間

 自分の性格なのでしょうか?
のんびりゆったりという生活ができません。
暇を持て余すというのが苦手で、
何かしていないと気が済みません。
それもできれば自分のためになることをしていたい、
これを<貧乏性>というのでしょうか(*^_^*)?

 子供の時のマラソンの経験が
自分の人生に影響を与えています。
とにかく走れる所まで走って、
もうこれで限界という時になってから歩こう。
そうすれば、歩いた時に今までの距離の分楽ができる。
そんなわけで、今は行ける所まで、
頑張ろうと思っています。

 蜩や 還暦なれど 振り向かず

 東北大震災が起こる前年の夏に
福島、仙台、山形、岩手を旅しました。
福島では、鶴ヶ城、白虎隊の自刃跡のある飯盛山
仙台では青葉城、山形では立石寺(芭蕉の
<静けさや 岩に染み入る 蝉の声>で有名な山寺)
岩手では、中尊寺の金色堂に行ってきました。

 その時の旅を思い出して一句。

 鶴ヶ城 蜩と待つ 市バスかな
 蜩や 会津見下ろす 自刃跡
 蜩や 山寺の果て 丸ポスト
 蜩や 山寺降りて 芋煮かな
 鞘堂を 包む蜩 翁塚
 蜩や 浄土求めて 光堂 
 

 

俳句にまつわる話



 

上に戻る