鰯雲

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俳句

浮かぶ句の 消え行く速さ 鰯雲

味醂屋に 旧字の屋号 鰯雲

飛機の雲 やがて溶込む 鰯雲

鰯雲 鱗に透ける 宙(そら)の色

聞こえない ふりが円満 鰯雲
 
鉄橋を 渡る単線 鰯雲

鰯雲 串刺すごとく 飛機の雲

責任も なければ淋し 鰯雲

鰯雲 空一面に 大漁旗

鰯雲 枯れし思考の 甦る

 

季語について


 9月15日(土)の栄句会の季語は<鰯雲>でした。

 鰯雲とは、雲の小片が鱗のように、規則正しく配列された
美しい秋の雲です。
 鰯雲と呼ばれるのは、雲の形が鰯の鱗を連想させることからです。
またこの雲がでると、鰯の大漁になるとの言い伝えもあります。

 聞こえないふりが円満鰯雲

 夫婦円満の秘訣は、それぞれの家庭にあると思いますが、
私が長年かけてあみ出した秘策は、<聞こえないふり>です(*^_^*)。

 個人差はあるとしても、一般的には女性の方がおしゃべりです。
我が家もそれにもれず、グチを言うのはほとんど家内です。

 私に対するグチ、例えば電気が消してなかったとか、
水道の蛇口がしっかりとしまってなかったとか……。

 グチは言っても仕方がない
結局自分でかたをつけるしか方法はないと私は思っているので、
ほとんどグチを言いません。
これは家庭だけでなく、仕事でも……。
まあ、仕事のグチはつきあいもありますので、
まったくないというわけではありませんが……(>_<)。

 私に対するグチを聞いた時、
「そんな細かいことどうでもいいだろう」とか、
「おまえもこの間同じようなことをした」などと
反応すると喧嘩になりますので、
そんなときは、聞こえないふりをして、聞き流します。

 A型同士の夫婦ですから、
喧嘩をすると、何日も口をきかなくなるので、
その間の気まずい雰囲気が耐えられません。
だったら、できるだけ喧嘩をしないようにしよう、
その方が傷が浅いと学習をして来ました(*^_^*)。

 若い時はかっとなって、売り言葉に買い言葉でしたが、
それがいかに不毛なものであるか、よくわかりました。

 浮かぶ句の流るる速さ鰯雲

 俳句を作っていると、
突然、良い句が浮かんでくることがあります。
そんな時、すぐ書きとめないと、忘れてしまいます。

 運がよければ再び浮かんで来ることも
ありますが、ほとんどだめですね(><)。

 これは、年を取った証拠でしょう。
だから、すぐに書きとめることを心がけ、
車の運転中なら、車を安全な場所に停めて
句を書きとめます。

 鰯雲串刺す如く飛機の雲
 飛機の雲やがて溶込む鰯雲
 鰯雲鱗に透ける青き空

 鰯雲は秋の雲です。
そして、なぜか秋は飛行機雲が目に付きます。
きっと、飛行機雲は夏にもあるのでしょうが、
夏の間は暑くて、天を見るゆとりがなかったからでしょうね。

 鰯雲で俳句を作ろうと、空を眺めていたら、
飛行機雲が鰯雲をまるで焼き鳥の串のように
見事に刺して行く姿を目にしました。

 山寺の果てにポストや鰯雲

 山寺とは、立石寺のことです。
芭蕉が「静けさや 岩に染み入る 蝉の声」と
詠んだ寺のことです。

 長い長い階段を登って、
山の頂まで行くと本殿があり、
そこに赤いポストがありました。

 ここにポストがあることを知っている人なら、
ここから、好きな人に手紙を送る、
それが別れの手紙でも、恋を告げるものでも、
何か情緒がありますね(*^_^*)。
 

 

俳句にまつわる話



 

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